トルコ中央銀行が利上げを実施

  • マーケットレター
  • 2017年01月

非伝統的手法ながら金融引き締めを実施

トルコ中央銀行は、1月24日(現地、以下同様)に行われた金融政策委員会で、翌日物貸出金利を0.75%ポイント引き上げ、9.25%とすることを決定しました。翌日物貸出金利の引き上げは昨年11月以来2カ月ぶりとなります。一方で、1週間物レポ金利と翌日物借入金利については、それぞれ8.0%と7.25%で据え置かれました。また、本来は金融機関の資金不足を緊急的に回避するための資金供給金利として設定されている後期流動性貸出金利は、10.0%から11.0%へ引き上げられました。トルコ中央銀行は、1月中旬頃から1週間物レポ金利や翌日物貸出金利での資金供給量を制限し、資金ニーズがある金融機関を後期流動性貸出金利での貸し出しに誘導してきました。なお、ブルームバーグ社によると、意見は分かれていたものの、市場は何らかの利上げを予想していました。

声明文では、通貨安がインフレ圧力につながる可能性に言及し、見通しの悪化を封じ込めるために金融引き締めを強化したことが示されました。また、引き続きインフレ見通しに着目し、あらゆる手段を講じて物価の安定を追求する旨が示されました。

トルコ中央銀行による通貨防衛

米国の大統領選挙でトランプ氏が勝利した後、同氏の政策への期待から米国金利の上昇と米ドル高傾向となる中、トルコは米ドル建ての対外債務が多いことや、多額の外貨資金調達が必要な経済構造となっていることから債券、為替ともに下落する展開となりました。これまでトルコ中央銀行は、通貨防衛策として、金融機関に対して外貨準備率の引き下げや流動性規制を実施したほか、通貨スワップ(買い戻し条件付きのトルコ・リラ買い・米ドル売り介入)を実施するなどの手段を講じてきました。

今後の見通し

1月21日には、トルコ議会で大統領権限を強化する憲法改正案が賛成多数で可決し、4月にも国民投票が実施される見込みとなりました。このためエルドアン大統領は、国民からの支持をより強固なものとするため、景気にとってマイナスとなる利上げについて反対の立場をとるとみられており、トルコ中央銀行はトルコ・リラが下落する局面でも利上げを実施することが困難だと考えられていました。今回の金融政策委員会では、1週間物レポ金利が据え置かれたこと自体は、政権への一定の配慮だと考えられますが、非伝統的な手法ではあるものの、市中金利を引き上げたことはトルコ・リラ安抑制に一定の効果があるとみられます。今後も通貨安が続く状況では、中央銀行が何らかの対策を行うと考えられることは、今後もトルコの金融市場を下支えすると考えられます。

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