トランプ大統領就任

  • マーケットレター
  • 2017年01月

米国第一主義

ドナルド・トランプ氏が1月20日(現地、以下同様)に米国の第45代大統領に就任しました。就任演説では、「米国第一主義(America First)」、「米国製品を買い、米国人を雇う(Buy American and Hire American)」、「米国を再び偉大な国に(Make America Great Again)」など、選挙戦中から掲げていた理念をあらためて強調しました。内容にサプライズはありません。

また、トランプ氏の大統領就任に合わせて、大統領府のウェブ・サイトも改められました。6つの主要な分野に関して、政策の方針が掲載されています。具体的には以下の通りです。

1. エネルギー産業に係る規制緩和

2. 米国の国益と安全保障を焦点とした外交、テロの根絶

3. 10年間で2,500万人の雇用創出と年4%の経済成長への回帰、減税と規制緩和

4. 軍備の増強、最新鋭のミサイル防衛システムの開発、サイバー戦争への対応

5. 治安維持の強化、国境壁の建設、不法移民の防止

6. TPP(環太平洋経済連携協定)からの脱退、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉、貿易協定違反国への断固たる措置

上述の方針は必ずしも網羅的ではなく(オバマケアについては同制度に係る経済上・規制上の負担を最小にする旨の大統領令を20日に公布)、選挙戦中に大統領就任初日に実行するとしていた政策全てを忠実に実行したわけでもありませんが、いずれもトランプ氏が繰り返し訴えていた方針で、内容にサプライズはありません。現時点で相場に織り込むだけの手掛かりには欠けます。

財政政策への期待と保護主義への懸念

今後は各省の長官を含む行政府の承認人事を終えた後、政策が本格的に議論されることになりますが、当面の市場への影響度の大きさからは、各種規制緩和、減税やインフラ(社会基盤)投資などの財政政策、国境税を含む通商政策、為替政策などが注目されます。

各種規制緩和は内容によっては、手続き的な容易さもあり、早々に実行されるものと思われます。財政政策については来月以降に公表される予算教書が議論のたたき台になります。財源の問題があり、トランプ氏の主張していた大規模減税や多額のインフラ投資がそのまま実施される可能性は低いと思われますが、財政政策が緩和的になるのは間違いなく、景気の押し上げ要因として期待されます。逆に、国境税の導入など保護主義への傾斜は、米国だけでなく世界経済全体にとってマイナスで、企業によっては影響が甚大であり、懸念は拭えません。顕著に改善している企業・消費者・市場のマインドを急激に悪化させる様な政策を直ちに打ち出すことはないと思われますが、注視が必要です。為替政策については、トランプ氏が財務長官に指名したムニューチン氏が長期的な米ドルの強さを支持する筋論を唱えたことで当座の安心感が醸成されていますし、米国の景気・雇用が改善を続けている限り、対人民元を除き、米ドル高へのけん制発言が大統領から頻発することはないと思われますが、同じく注視が必要です。

経済ファンダメンタルズは堅調

米国の経済ファンダメンタルズは堅調です。足元では成長の勢いが強まりつつあり、当面は個人消費の好調と設備投資の持ち直しで、基調として巡航速度をやや上回る2%台前半での成長が見込まれます。前述の政策のうち、マーケット・フレンドリーな政策が先行する様であれば、来年にかけては3%成長をも視野に、景気の上振れが期待されます。政策に係る不確実性は高いものの、景気の基調の強さは特筆されます。

以上

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