12月8日のECB理事会の決定について

  • マーケットレター
  • 2016年12月

資産購入の9カ月延長と月200億ユーロの減額

ECB(欧州中央銀行)は12月8日(現地)に開催された理事会で、市場予想通り政策金利を据え置きましたが、資産購入の期限を2017年3月から2017年12月まで延長するとともに、2017年4月以降は月間の購入額を800億ユーロから600億ユーロに減額することを決定しました。また、1月から実施の技術的措置として、購入可能な公債の範囲を残存2年以上から残存1年以上に広げ、資産購入全般に関して、利回りが中央銀行預金金利(現在▲0.4%)を下回る債券の購入も可能としました。

テーパリングではない

資産購入の期限の延長は市場予想通りでしたが、月200億ユーロの減額は大方の想定外だったと思われます。しかし、ドラギ総裁は極めて緩和的な金融環境の継続を再三強調し、市場に安心感を与えました。具体的には、資産購入に関して、「徐々に減らして0にする」いわゆるテーパリングは、理事会では議題に上らず議論もされず、誰一人望むものはいなかったと断言しました。他の選択肢として月間800億ユーロのまま6カ月延長する意見もあったことが明らかにされましたが、広範なコンセンサスにより上記の決定に至ったと説明されました。

再度の増額も可

国債を含む資産購入は2015年3月から月間600億ユーロで開始されました。2016年3月に月間800億ユーロに増額したわけですが、その時と比べると「デフレのリスクはおおむね消失した」ことから当初の購入額に戻したとドラギ総裁は説明しています。また、インフレ目標の達成に関して、状況次第では、金額や期間に関して資産購入を増やす意向が明記されており、ドラギ総裁も現実的で柔軟な措置であることを力説しています。

逆に見通しが改善すれば資産購入を減らすのかとの質問には、「そんな高尚な問題は議論していない」と一蹴する程に、緩和への意志の強さをあらわにしました。資産購入の期限の延長は、ECBが持続的に市場に影響を及ぼし続けるとの意図を伝えるものと説明しています。もっとも、2017年12月との期限を示しつつも、「必要ならそれを越えて」との付記は従来通りで、実質的には無期限の措置です。

市場はユーロ安で反応

この様に、記者会見でのドラギ総裁の姿勢が一貫して緩和的であったことから、ユーロは大幅に下落しました。実際、資産購入を続ける限り、購入額を減らしてもECBのバランスシートは膨張し続けるわけで、極めて緩和的な金融環境が継続するのは明らかです。「デフレのリスクはおおむね消失した」にせよ、「コア・インフレが基調として上向く明確な兆しはまだない」とも述べており、決してECBが安心しているわけではありません。

なお、中央銀行預金金利を下回る債券の購入は「可能」であるに過ぎず、金利体系が改まった場合に購入することになるかもしれないとのことで、条件についてはこれから評価するとの物言いでした。年明け早々すぐに購入を開始するわけではなさそうです。マイナス金利の債券購入で損失が生じるのは確かですが、中央銀行は利益をあげるのが目的ではなく、物価安定の責務を果たすのが一義であるとのドラギ総裁の返答はその通りだと思われます。

経済見通しはさほど変化なし

経済見通しは前回(9月)からさほど変化がありませんでした。今回から2019年が見通しの対象となりましたが、GDP(域内総生産)成長率は1.6%、インフレ率は1.7%で、後者は2%の目標に必ずしも「十分でない」とのドラギ総裁の発言は、資産購入の継続を正当化します。

強力な金融緩和の継続でリスク選好

いずれにせよ、ECBの強力な金融緩和の継続は、世界的にリスク選好を促す一因であり続けます。月200億ユーロの減額をことさら懸念する必要はないでしょう。ECBの金融緩和は、米国の長期金利の上昇を抑制することで、米国の金融政策の正常化の側面支援にもなると考えます。

以上

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