米国リート市場の投資環境

  • マーケットレター
  • 2016年11月
-良好なファンダメンタルズは不変-

※当資料は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インク(以下、C&S)のコメントを参考にして大和投資信託が作成したものです。

大統領選挙後の米国リート市場

米国の大統領選挙は11月8日(現地)に実施され、当初優勢とされていた民主党のクリントン氏を制してトランプ氏が勝利しました。

大統領選挙後の相場動向を振り返ると、トランプ次期大統領の掲げる減税やインフラ投資などを主軸とした成長政策によって景気が拡大し、物価が押し上げられるとの思惑から、米国10年国債利回りは上昇傾向を強めました。

一方、米国リート市場は、当初は金利上昇を嫌気し下落に転じましたが、その後は反発しました。しかし、再度反落する展開となっており(11月16日現在)、市場は、トランプ次期大統領の経済政策(後述)がリート市場に与える影響を冷静に織り込んでいるものと考えられます。

トランプ次期大統領の経済政策がリート市場に与える影響

トランプ氏が次期大統領に決定したことや上下院を共和党が制したことで、トランプ次期大統領の掲げる内需を重視したインフラ支出の拡大や、法人減税、規制緩和などが実施される可能性に期待が集まっています。こうしたインフレ促進型の政策方針は、米国リートにポジティブな影響を与えると予想されます。

不動産は利回り商品としての側面と、インフレヘッジ資産としての二つの側面を持つと言われています。大統領選挙直後のリート市場の反落は、金利が上昇する中で、利回り商品としての相対的な魅力が低下するとの市場関係者の思惑を反映したものと思われます。

しかしながら、リートは、金利上昇局面でもインフレヘッジ資産としての不動産の価格上昇を受け、堅調に推移する傾向があることから、足元の環境はリート市場の追い風であると判断されます。

従って、米国リート市場は短期的には投資家心理の変化や長期金利の動きに左右される局面が予想されるものの、好調な商業用不動産市況や相対的に高い利回りを背景に、中長期的には底堅い上昇トレンドが続くと予想しています。

実際、過去の金利上昇局面を振り返ると、不動産市場の価格上昇期待が支援材料となって、リート市場は高いパフォーマンスを獲得してきています。

一例として、上図⑥の金利上昇局面は、米国の量的緩和が早期に解除されるとの懸念が高まったことにより、リート市場にも一時的に売り圧力が強まりましたが、基本的にリート各社の好調なファンダメンタルズを織り込む展開となっています。

トランプ次期大統領の経済政策は、企業活動や富裕層の個人消費に依存する割合が大きい米国経済にとってはプラス要因になる部分も大きいものと考えられます。また、内需振興に注力した景気刺激策を行うことは、保有物件の大半(9割超)を国内に有する米国リート市場にとってはポジティブな部分も少なくないものと予想されます。

一方、個別リートの動向に目を転じると、直近の四半期決算は主要リートを中心におおむね市場予想を上回る決算発表を行っています。

景気拡大を背景にテナントからの需要が堅調である一方、新規物件の供給水準は低位で推移しており、リート各社の保有する物件の空室率低下や賃料上昇が想定以上となっていることが背景にあるものと考えられます。

相場見通し

以上の通り、当面は金利上昇懸念などへの反応が予想されますが、その後は景気対策を受けた米国内の個人消費や設備投資などの回復、リートや商業用不動産市場の相場上昇が支援材料となり、リート市場は上昇に転じると予想しています。

米国リートのバリュエーションに目を転じると、長期金利の上昇によって7月以降に調整が続いていることもあり、魅力的な水準となってきています。今後は、実物不動産の価格上昇が続く中で、リート価格が保有する不動産時価に対して割安となっていることが、相場の下支えや支援材料となるものと考えられます。

通常、リート価格がNAV(純資産価値)比でディスカウント(マイナス)に転じると、実物不動産価格に対する割安感からリートが買われる傾向があります。今後、トランプ次期大統領が大幅なインフラ支出を含む財政支出を実現することが出来れば、リート市場は米国内の雇用や個人消費の回復、並びにそれらを背景とした商業用不動産市場の上昇を織り込む展開が予想されます。

以上

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