大統領選挙を受けた米国リート市場の投資環境と今後の見通しについて

  • マーケットレター
  • 2016年11月

※当資料は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インクのコメントを参考にして大和投資信託が作成したものです。

米国の大統領選挙は11月8日(現地)に実施され、選挙直前には両候補の支持率が接近していたこともあり、予断を許さないまま選挙当日を迎えていましたが、結果的にはペンシルバニアなど民主党の支持基盤を制したトランプ氏が勝利しました。

大統領選挙を受けたリート市場の動き

大統領選挙を受けた9日(現地)の米国リート市場の動向を振り返ると、保護主義的な貿易政策を実行すれば、米国での賃金上昇につながり、物価を押し上げるとの見方から、10年国債利回りは2.06%と今年1月以来の水準に上昇しました。金利上昇が嫌気され、FTSE NAREIT®エクイティREIT・インデックス(配当金込み)は▲1.6%の下落となっています。

用途別では、産業施設セクターの下落が大きくなりました。保護貿易的な通商政策が採られることから通関量などが減少し、ひいては物流施設への需要が減少するとの見方が強まったためとみられます。一方で、特殊用途施設セクターに属する刑務所を運営するリートが大きく上昇しています。トランプ氏が選挙キャンペーンで打ち出した不法移民の強制送還などによって民間刑務所の需要が増加するという思惑が強まったためと思われます。

トランプ新大統領の経済政策がリート市場に与える影響

不透明要素は残るものの、経済成長には追い風となる可能性:

トランプ氏が次期大統領に決定したことや上下院を共和党が制したことで、インフラ支出の拡大、法人減税、税制改革および規制緩和が実施される可能性が高まっています。こうした経済およびインフレ促進型の政策方針は、リート市場などの先行きに対しポジティブな影響を与えると予想されますが、トランプ次期大統領の実際の行動を予想することが難しいため、不透明感は残ります。また、移民および貿易の減少による経済リスクも存在します。また、トランプ次期大統領がどの政策を実際に推進するかが判明し、不透明感が解消されるまでは、短期的にはボラティリティーの上昇も予想されます。

財政政策:

短期的には、先行き不透明感によりビジネス投資が後退することから、経済成長が減速するリスクがあります。一方で、トランプ次期大統領が大幅なインフラ支出を含む財政支出を実現することができれば、長期的には上記を埋め合わせる効果をもたらす可能性があります。

税制改革:

トランプ次期大統領が約束する法人および個人税制の幅広い改革は個人消費や企業業績にプラスですが、こうした約束が実際に承認されるかは不明です。

過去20年間にわたるグローバル化のトレンドは世界的なデフレ圧力となった一方で、トランプ次期大統領の保護主義的姿勢はインフレ圧力につながるとみられます。特に、移民の減少、高関税、財政支出の拡大の諸政策は、全てが将来のインフレ圧力となり得ると考えています。

米国リートについて

基本的に米国リートは経済成長とインフレ環境下では堅調に推移する傾向があり、足元の環境は追い風であると判断しております。

当面は金利上昇懸念等への反応が想定されますが、歴史的に見て、これまで米国リートは経済成長の環境下では、たとえ金利上昇やインフレに直面してもパフォーマンスは良好に推移してきています。また、現在の米国リートのバリュエーションは、7月以降に調整が続いていることもあり魅力的になってきています。したがって、景気対策を受けた米国内の個人消費を中心とした回復期待や、リートや商業用不動産市場の好調なファンダメンタルズ、リートの利回り面の魅力を背景とし、中長期的には緩やかに反発基調をたどるものと予想しています。

※FTSE NAREIT®エクイティREIT・インデックス(配当金込み)は、FTSE®により計算され、指数に関するすべての権利はFTSE®およびNAREIT®に帰属します。

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