足元の米国優先リート市場について

  • マーケットレター
  • 2016年10月

※当資料は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インクのコメントを参考にして大和投資信託が作成したものです。

足元のマーケット環境

年初来の米国優先リート市場の動向を回顧すると、世界の金融市場の変動性が高まる中でも、普通リート市場と比較すると安定的に推移してきたと言えます。

2016年1月には中国経済の減速懸念に伴うリスク回避の動きから普通リート市場などが下押しする局面もあったものの、優先リート市場については全般的には世界的な低金利環境下で投資家が利回り資産を物色する動きが強まったことを背景に、緩やかな上昇局面が続いてきました。また、6月23日(現地)には英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票で、僅差であるもののEU離脱派が多数となり、世界的に株価調整が進みましたが、米国リートに与える影響は僅少であるとの見方から、普通リート市場や優先リート市場に大きな混乱は見られませんでした。

ただし、2016年9月以降はFRB(米国連邦準備制度理事会)一部高官の発言を受け、利上げ前倒しの思惑が強まったことや、ドイツの大手銀行に対する経営不安に端を発する市場のリスク回避姿勢の強まり、ならびにECB(欧州中央銀行)の緩和策縮小をめぐる思惑などが相場の重しとなり、普通リート市場は若干調整ムードを強めているものと思われます。優先リート市場についても、やや上値の重い値動きとなっていますが、普通リート市場と比較すると安定的な動きとなっている傾向が見て取れます。

過去の相場変調時のマーケット環境

より長期の値動きを見ても、優先リートの値動きは普通リートと比較すると、絶対リターンでは劣後するものの、より安定した推移となっていることが見て取れます。

普通リートは、米国商業用不動産のファンダメンタルズ、金利動向、米国マクロ景気動向などの影響を相対的に強く受け、リターンの絶対水準は異なるものの、より株式に近い変動を示す傾向があります。一方、優先リートは、四半期ごとの配当支払いが普通リートに優先して支払われることや、配当額が固定されていることから、むしろ債券的な値動きを示す傾向があります。

上記のチャートをご覧いただければ、リーマン・ショック(2008年9月~)に対して普通リート市場が大きく反応した一方で、優先リート市場の下落幅は普通リートとの比較では小幅となっていたことが見て取れます。

また双方の市場とも、欧州債務危機(2009年10月~)の影響は比較的小さかったことがわかります。これは米国リートの保有物件の大半が同国内にあることから、欧州の政治的イベントが米国リート市場に与える影響は僅少であるという投資家の冷静な判断を反映した相場展開となったものとみられます。

今後の米国優先リート市場の見通し

米国経済は、今後も過熱感のない緩やかな成長が続くものとみられます。一方で米国金利については、米ドル高による経済への悪影響などを勘案すると、利上げのペースは緩やかなものにとどまるとみており、低金利環境は継続しやすいと考えます。また11月には大統領選挙を控えており、選挙結果への思惑が相場を動かす要因になることも考えられます。

米国リートに目を転じると、テナントからの需要が堅調である一方で新規物件の供給水準は低い環境下で、保有物件の稼働率ならびに賃料成長率は過去のトレンドを上回って推移してきています。その結果、バランスシートの改善を背景に、大半のリートのクレジット環境が改善傾向にあることが注目されています。そういった環境において優先リート市場は引き続き、相対的に高い配当利回りやクレジットの改善期待、ならびに対国債利回りでの高い配当利回りスプレッド(利回り格差)や、利回りを求める投資家の強い需要を背景に、選好される展開を予想しています。

以上

当資料のお取扱いにおけるご注意
  • 当資料は、ファンドの状況や関連する情報等をお知らせするために大和アセットマネジメントにより作成されたものであり、勧誘を目的としたものではありません。
  • 当資料は、各種の信頼できると考えられる情報源から作成していますが、その正確性・完全性が保証されているものではありません。
  • 当資料の中で記載されている内容、数値、図表、意見等は当資料作成時点のものであり、将来の成果を示唆・保証するものではなく、また今後予告なく変更されることがあります。また、記載する指数・統計資料等の知的所有権、その他の一切の権利はその発行者および許諾者に帰属します。
  • 当資料中における運用実績等は、過去の実績および結果を示したものであり、将来の成果を示唆・保証するものではありません。
  • 当資料の中で個別企業名が記載されている場合、それらはあくまでも参考のために掲載したものであり、各企業の推奨を目的とするものではありません。また、ファンドに今後組み入れることを、示唆・保証するものではありません。