インドが政策金利を0.25%ポイント引き下げ

  • マーケットレター
  • 2016年10月

利下げを実施

RBI(インド準備銀行)は4日(現地、以下同様)、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%ポイント引き下げ、6.25%としました。市場予想は据え置きと利下げで割れていましたが、会合では全会一致での決定となりました。

今回はラジャン前総裁に代わり、9月に就任したパテル総裁の下での初めての会合でした。また、金融政策の透明性を向上するためにMPC(金融政策委員会)が導入され、合議制で政策金利を決定する体制となって初めての会合となりました。MPCは、総裁を含む中央銀行側3人と政府指名による外部委員3人の計6人で構成されています。

利下げの背景

RBIは、インフレ率を抑制できていることや、世界経済の減速がインド経済にも影響を及ぼしかねず、景気を刺激する必要があることなどから利下げを決めたと説明しています。

8月のインフレ率が5カ月ぶりの低水準である5.05%となったことや、雨期の降雨量が多かったことで食料品価格が下落していることから、中央銀行は食料品主導でインフレ率は今後低下するとの見通しを示しています。中央銀行は、2017年3月までに5%のインフレ目標の達成を目指すとしており、直近のインフレ率の低下により目標達成が可能と判断したと思われます。

市場では、物価の安定に注力するラジャン前総裁の退任後に、利下げが実施されるとの予想が以前より根強くありました。一方で、天候要因などによる食料品価格の上昇や、6月29日に発表された公務員給与引き上げによる消費拡大により、インフレ圧力が高まるとの予想もあり、今回の金融政策決定会合の市場予想は割れていました。

利下げの決定により、パテル総裁は金融緩和を進めたい政権の意向を反映したと受け止められている面もありますが、政府と協調しながら持続的な経済成長を図る方針は、借り入れ主体である企業から歓迎されると思われます。

今後の見通し

今回の利下げは2016年4月以来となりますが、金融緩和サイクルは2015年に始まっており、利下げ幅は合わせて1.75%ポイントとなりました。中央銀行は緩和的な金融政策を続けているほか、政府は国営銀行に対して政府資本の注入や小口預金規制金利の引き下げを行い、市中銀行の貸し出し促進を図っており、民間企業の投資意欲を押し上げ、企業活動を活性化することにより、経済成長の押し上げを狙っています。今後もインフレをはじめマクロ経済の動向次第ですが、RBIの緩和的な金融政策の継続が見込まれ、経済を押し上げることが期待されます。

一方、モディ政権は、インフラ(社会基盤)整備と規制緩和を進め、インド経済のポテンシャルを引き出す構造改革と成長戦略を実行しています。GST(物品サービス税)法案の可決など一定の成果も収め、順調に成長路線を展開しています。

米国の金融政策や原油価格の動向、世界的な金融市場の調整には注意が必要ですが、ファンダメンタルズと政策の両面から、中長期の経済成長が期待されるため、インド・ルピーは堅調に推移するものと見込みます。

以上

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