トルコクーデター未遂の影響について

  • マーケットレター
  • 2016年07月

トルコでクーデター未遂が発生

2016年7月15日夜(現地時間、以下同様)、現地紙などの報道によるとトルコ軍の一部がクーデターを試み、トルコ最大の都市イスタンブールや首都アンカラの一部を占拠し、国営放送を通じて全権掌握、戒厳令、夜間外出禁止令の公布を宣言しました。しかし、クーデター側はトルコ軍参謀総長を拘束していたものの、陸軍の司令官から「軍は我々の一部が起こした行動を支持しない」とクーデターに対して明確に反対する声明が出されたほか、CHP(共和人民党)などの野党からも武力によるクーデターに反対する声明が出されました。

16日にはトルコ軍の参謀総長代行が記者会見を行い、「クーデターの試みは阻止され、失敗に終わった」と述べ、およそ半日間続いたクーデターの試みは未遂に終わったことが発表されました。その後、トルコ政府は今回のクーデター未遂を受けて、軍・司法関係者ら7,500人以上を拘束したとのことです。

今回のクーデターは、トルコ軍の参謀総長が拘束されていたことなどから、トルコ軍全体が一枚岩となっての試みというよりは、一部勢力によってもたらされたものとみられています。トルコでは過去3回、クーデターなどによって軍が権力を奪取していますが、いずれも内政が混乱した末に、参謀総長が中心となりトルコ軍全体が結託し政治へ介入したものでした。トルコ軍は建国の父と呼ばれるケマル・アタチュルクがトルコ共和国を建国して以来、政教分離の世俗主義を原則として支持してきました。

市場の反応

クーデターが発生した15日夜には、トルコ金融市場は既に終了しており、債券・株式などに動きは見られませんでした。しかし、為替については、上記ニュースを受けて一時対米ドルで3.05トルコ・リラをつけるなど、4.5%超の下落となりました。

事態が収束した後の18日は、トルコ・リラは反発して始まりましたが、政治的不透明感の高まりなどを受けてトルコの10年国債金利は0.6%程度の金利上昇となったほか、株式もイスタンブール100種指数で約7%の下落となりました。

今後の見通し

今回のクーデターが未遂に終わった要因は大きく二つあると考えられています。一つはクーデター自体がトルコ軍の一部によって試みられたこと。もう一つは、国民の支持が得られなかったことです。確かに強権的な政治手法が非難の対象となるエルドアン大統領ですが、2014年にトルコ初となる国民投票で選出されており、与党AKP(公正発展党)が昨年の選挙で過半数を獲得するなど、民主的な過程を経て国の代表に選出されています。トルコ国民がクーデターを支持しなかった背景には、エルドアン大統領への支持のほか、クーデターが非民主的な手法であったことに反発したとの見方もあります。

今回の事件を受けて、エルドアン大統領は、反対勢力に対する取り締まりを強化し、憲法改正・大統領権限の強化に向けた動きを加速させるとみられています。事態収拾に対する評価と強いリーダーシップを背景にトルコ国内でのエルドアン大統領の権力は強化されるとみられています。今後も引き続き、憲法改正・大統領権限の強化をめぐる政治的動向には注意が必要と考えられます。

短期的には観光業など経済への影響が懸念されるものの、民主主義が堅持されたことは、政治的な安定などの面から見ても、中長期的には、トルコにとってポジティブだと考えられます。また、中央銀行が、17日に市場に対して無制限で流動性を供給する旨の声明を発表し、週明けの金融市場が大きく混乱する事態を回避しようと迅速に行動したことも、金融市場の安定という面からポジティブだと考えられます。影響力を強めたエルドアン大統領は、さらなる景気刺激を志向し、トルコの経済成長を後押しすると考えられます。トルコの金融市場は、憲法改正など政治動向をめぐる思惑に加え、欧米などの金融政策動向や、資源価格の動きなど外部要因の影響を受ける可能性があります。しかし、相対的に高い金利水準であることや内需を中心とした経済成長が期待できる点から、引き続きトルコは魅力的な投資対象だと考えられます。

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