EU離脱に関する英国国民投票後のグローバル・リート市場について

  • マーケットレター
  • 2016年07月

※当資料は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インク(以下、C&S)のコメントを基に大和投資信託が作成したものです。

EU離脱に関する英国国民投票後のグローバル・リート市況

<欧州>

欧州市場は、英国、ユーロ圏ともに軟調に推移しました。英国国民投票でのEU(欧州連合)離脱派の勝利による政治・経済への影響の先行き不透明感から英国のリートが大幅下落となったほか、反EUの政治的な動きが強いイタリアなどのリートも大幅に下落しました。一方、多国籍企業の、英国からの移転先として可能性が指摘されたドイツなどのリートの値下がりは相対的に小幅にとどまりました。

<米国>

米国市場は上昇しました。米国リートは、英国や欧州経済の影響が比較的小さいことから相対的な安全性が好感されました。また、英国国民投票でのEU離脱派の勝利を受けて、近い将来の利上げの可能性が低下したとの思惑で長期金利が低下したことも市況を支えました。

<アジア・オセアニア>

アジア・オセアニア市場は、主要3市場(オーストラリア、シンガポール、香港)とも、上昇しました。米国同様に、英国や欧州経済の影響が比較的小さいことや長期金利の低下が好感されました。

英国での不動産ファンド解約増に伴うグローバル・リート市場への影響

英国リートは、6月24日(現地、以下同様)から6月27日に急落した後、月末にかけて反発に転じましたが、7月4日から英国での不動産ファンドの解約停止が相次ぎ、再び下落に転じました。これらの不動産ファンドは非上場のファンドであり、弊社ファンドが通常投資対象としているリート(不動産投資信託)とは異なります。解約停止は売却資金を順序立って確保するためで、ファンド構造上やむを得ない部分もありますが、こういったニュースフローが英国の不動産市況への不安感を高めたことは事実です。また、同時にイタリアの銀行問題が注目され、ユーロ圏各国のリート市場も下落しましたが、英国での不動産ファンド解約停止によるグローバル・リート市場への影響は限定的で、基本的には英国リート市場の問題と考えています。

英国リート市場への影響と見通し

ファンド解約に対しての流動性確保のためにファンド筋による不動産売却が続くことは、英国の不動産市況に広範囲にわたって影響を及ぼすことが予想されます。ただ英国リートについては、短期的には痛みを伴う状況が続くものの、長期的には恩恵を受ける可能性があると考えています。

短期的には不動産の価格下落を通じて上場リートのNAV(純資産価値)がマイナスの影響を受けることとなりますが、金利が歴史的低水準にあることから、価格下落は過去の調整局面と比較してそれほど厳しいものとはならないと見込んでいます。不動産へのファイナンスは途切れておらず、価格下落に注目したファンドなどの参入が見込まれます。

長期的には上場リートは不動産ファンド市場の混乱から恩恵を受けるものと見込んでいます。リートの多くは健全なバランスシートを有し、不動産ファンドの解約対応に伴う安値での物件売却などにより魅力的な価格での物件買い付けを行うことができます。証券市場が落ち着きを取り戻すにつれ、リートはより多くの資産買い入れを行い、ポートフォリオやその収益拡大を行うことができるようになると考えています。

また、上場リートは不動産ファンドと違ってより長期の資本を確保しており、金融システムの変動性に対しても安定性を維持しています。

不透明な経済環境においても、英国リートは過去の下落局面と比較するとより優位なポジションにあるといえます。理由としては以下の3点が挙げられます。

(1)強固なバランスシートと低いレバレッジ:

英国リートはレバレッジを低下させてきており、追加資金の調達なしでも最大で30%強の資産価格の下落に耐えうる状態となっています。

(2)クオリティーの高さとセクターフォーカス:

英国リートの多くは近年ポートフォリオ構成を大きく変化させ、コア分野への注力を強めています。弊社としては分散型よりこういった特化型リートの方が社会のトレンド変化への適応力を増していると考えています。

(3)インカムへの注力姿勢:

英国リートの多くは近年、開発よりも既存資産のキャッシュフロー成長に注力を移しています。リース期間はおおむね10年超の長期に及び、より収益予想が見えやすくなったほか、こういったビジネスモデルはより市場の評価が高まる傾向があります。

今後のグローバル・リート市場見通し

世界的な低金利環境からリート市場への資金流入が続くものとみています。米国では良好な商業用不動産市況やリート各社の割安なバリュエーションなどが下支えになるものと予想されます。欧州ではイギリスの国民投票の結果の影響に不透明感がある一方、ECB(欧州中央銀行)の対応などが注目されます。オーストラリアでは高い利回りを求める国内外の投資家による旺盛な不動産投資需要などが相場の支援材料になると考えます

<欧州>

英国の国民投票でのEU離脱派の勝利は、先行き不透明感の高まりによる投資や雇用の減少により、短期的には英国経済に悪影響を及ぼしそうです。特に、ロンドンの金融センターとしての位置づけが低下する可能性があることから、オフィスリートや住宅リートなどは慎重にみています。一方で、リート価格が下落したディフェンシブな銘柄には注目しています。具体的には、米国に比べ成長余地の大きい貸倉庫リート、電子商取引の成長の恩恵が期待される産業施設リート、安定的な成長が期待されるヘルスケアリートなどです。ユーロ圏諸国においても、政治的、経済的不透明感から、今後の成長見通しが引き下げられる可能性があります。一方、これに対してECBが現状以上の緩和姿勢を維持していくと考えられる点は、不動産市場やリート市場にとって支援材料です。

<北米>

米国経済は、今後も過熱感のない緩やかな成長が続くものとみられます。一方で、世界各国で金融緩和への期待は根強く残っており、世界的な金利低下圧力がみられることから、利回り資産としての実物不動産やリートについて有利な環境が続くものとみています。加えて、低水準の長期国債利回りと比べたリートの配当利回りの高さなど支援材料も多く、底堅い相場展開が続くものとみています。

カナダについても、原油価格の安定などからリートのファンダメンタルズは回復局面が続くものとみています。

<アジア・オセアニア>

オーストラリアでは、不動産の賃料利回りが相対的に高く、シンガポールや中国など海外の不動産投資家の関心を集めていることが市場の支援材料になると考えます。シンガポールや香港では、住宅地に位置する日常生活に関係の深いテナントが多い大型商業施設の事業環境が安定していることなどはリート市場にとってプラス要因です。

以上

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