メキシコの利上げについて

  • マーケットレター
  • 2016年07月

市場の大勢の予想よりも大幅な利上げ

メキシコ中央銀行は6月30日(現地、以下同様)、定例の金融政策委員会の結果、政策金利を0.50%ポイント引き上げて4.25%とすることを決定しました。政策金利は2014年6月に史上最低の3.0%とされた後、2015年12月会合では米国に追随する形で0.25%ポイントの利上げが開始され、今年2月には臨時会合により0.50%ポイントの利上げが実施されており、今回が3回目の利上げとなります。市場では利上げ予想が優勢だったものの、その大半は0.25%ポイントの利上げを予想しており、市場の大勢の予想よりも大幅な利上げとなりました。

ペソ安の物価への波及を警戒

中央銀行は利上げを決定した声明文の中で、前回の5月上旬の定例会合以降の為替市場におけるメキシコ・ペソ(以下、ペソ)安について言及し、その理由として米国の追加利上げ観測の一時的な高まりや、直近の英国の国民投票におけるEU(欧州連合)離脱派の勝利を挙げました。2月には1ドル=19ペソ台までペソ安が進行しましたが、政府の財政緊縮策と同時に臨時会合によって利上げを決定した後、ペソは反発基調となり、4月下旬には17ペソ台前半を回復しました。しかし、その後は原油価格が軟調に推移したことを背景に再びペソ安が進行し、英国の国民投票の結果を受けて史上最安値圏の19ペソ台となっていました。

中央銀行は、今のところインフレは2016年末に目標レンジの中央の3%をやや上回る程度にとどまる見通しであるなど総じて落ち着いているものの、インフレのリスク・バランスは外部環境の著しい悪化により前回会合よりも悪化したとし、特にペソ安とそれによる物価への影響に警戒を示しました。また、政府が2017年にプライマリー収支(利払費控除前の財政収支)の黒字をめざすなど財政健全姿勢を維持する中で、中央銀行が適切な金融政策を実施し、実勢インフレや将来のインフレ予測を抑えることが、金融市場の安定に寄与すると述べています。また国内景気については、特に製造業の輸出の不振によって、堅調だった第1四半期よりも第2四半期の初めはやや減速しており、総需要からのインフレ圧力は見られないとの判断を示しています。

ペソ安次第では追加利上げを辞さない姿勢を示唆

中央銀行は、今回の措置はここ数カ月のようなペソ安の進行を防止し、インフレ予測への波及を抑えることが目的であると、声明文に明記しています。また前回2月の臨時会合による利上げの際には「新たな金融引き締め局面の始まりではない」としていたものの、今回は「中長期的なインフレ予測、特に為替相場やその物価への波及など、インフレに影響を与える要因を注意深く監視する」とし、メキシコと米国の金融政策の相対的な立ち位置や、経常赤字の状況、生産ギャップの縮小具合にも目を配りながら、インフレが目標の3%に収束することをより確かにする措置を、必要な場合には機動的に講じると述べています。今後もペソ安の進行次第では、追加利上げも辞さない姿勢を市場に示したものと考えられます。

メキシコがトランプ米国大統領候補の移民問題をめぐる攻撃対象となっていることも影響してか、年初来のペソ相場は新興国通貨の中で相対的に弱含んでいました。中央銀行が、ペソ安に対して通貨防衛的な利上げで応じる姿勢を示したことが、今後のペソ安の歯止めとなることが期待されます。また利上げの国内景気に対する影響については、現状は堅調な内需で支えられており、今のところ限定的にとどまると考えています。

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