英国の格下げについて

  • マーケットレター
  • 2016年06月

長期債務格付けの引き下げ

格付会社のスタンダード・アンド・プアーズ(以下、S&P)は6月27日(現地。以下同じ)に英国の長期債務格付けを「AAA」から2段階引き下げ「AA」とし、見通しを「ネガティブ」としました。フィッチ・レーティングスも同日、「AA+」から「AA」に引き下げ、見通しを「ネガティブ」としました。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは6月24日に「Aa1」の格付けは据え置いたものの、見通しを「ネガティブ」としました。

国民投票の結果を受けた不透明感の高まり

いずれも、6月23日に実施された英国の国民投票でのEU(欧州連合)離脱の決定を受けてのものです。具体的には、S&Pは格下げの理由として、①国民投票でのEU離脱の決定は長期的に影響を及ぼし続けるものであり、英国の政策の枠組みの予見可能性、安定性、効果を低下させること、②多額の経常赤字に鑑みれば、海外からの資金調達に著しい支障が生じるリスクを有すること、③スコットランド、北アイルランドでの投票結果が残留であったことから生じ得る広範な問題を挙げています。

また、見通しがネガティブである理由としては、経済、財政、対外資金調達環境だけでなく、英ポンドの準備通貨としての地位に係るリスク、ならびにスコットランドで再度独立の住民投票が行われた場合の英国の体制上のリスクを挙げています。

懸念される多額の経常赤字

国民投票でのEU離脱の決定を受けての衝撃があまりに大きく、格下げは離脱決定の時点から予想された通りで、市場の直接的な反応は今のところ大きくはない模様です。しかし、英国は今後の政治、経済動向が極めて不透明であり、経常収支は多額の赤字、対外純資産も若干の負債超で、実際に英ポンドは国民投票の結果を受けて対米ドルで85年以来の水準まで下落しています。経常収支が黒字で世界最大の対外純資産を誇る日本と比較すれば、英国は格下げの及ぼす悪影響が相対的に大きいと思われます。

事態の推移を見守る展開

国民投票は離脱で決したものの、離脱への具体的な道筋は明確ではなく、事態は流動的です。国民投票を受けて市場はひとまず大幅な英ポンド安で反応しましたが、今後は英国、EUの政治情勢をにらみながら、やや冷静に事態の推移を見守る展開になると思われます。

以上

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