英国のEU離脱の影響について

  • マーケットレター
  • 2016年06月

EU離脱が決定

英国でEU(欧州連合)残留か離脱かを問う国民投票が6月23日(現地)に実施され、離脱多数で大勢が決しました。今回の国民投票は、2013年1月にキャメロン首相が2015年の総選挙の公約として、2017年までの実施をうたっていたものです。今年2月のEU首脳会議で、移民への福祉給付の制限など、英国が要求するEUの改革についての合意がなされ、これを受けて国民投票の日程が正式に決まりました。世論調査では投票日に至るまで残留と離脱の支持率が拮抗していましたが、金融市場では今週に入り残留がやや優勢との見方に傾きつつありました。

英国がEUを離脱した場合の経済的損失の試算は、民間はもとより、英国財務省やIMF(国際通貨基金)、OECD(経済協力開発機構)などの国際機関から相次いで出されています。英国財務省の試算は、ショックが大きい場合(不確実性や金融市場の変動率の高まりをリーマン・ショック時の半分程度と想定)、今後2年間でGDP(国内総生産)が6%減少し、失業者数が82万人増加、住宅価格が18%下落するなど厳しい内容です。しかし、現時点では、EUから離脱した場合、現実にどの程度の悪影響が生じるかは定かではありません。EUとの「ヒト・モノ・カネ」の自由な往来が制限されることで、約半分がEU域内を対象とする貿易取引の激減や、英国からの多額の資本流出、各種制度の改変や安全保障面を含め、英国が被る経済的損失・コストは計り知れません。それでも、実質的に英国の主権がEUに侵害されつつある現状に加え、最近の大規模な移民の流入に対する国民の不満を背景に、結果的には離脱の声が残留を上回りました。

政治的・経済的不透明感の増大

国民投票でEU離脱が決定しましたが、現実に離脱に至るには政治的にも実務的にも紆余曲折が予想されます。恐らくはキャメロン首相が辞任し、離脱派が主導する内閣の下で、EU条約の規定に則りEU離脱を申請することになると思われますが、その後2年かけて、EUとの間で離脱後の条件に関して合意する必要があります。容易に交渉はまとまらず、EU参加国の全会一致で交渉期限が延長されるとの見方もあります。他にも、EU加盟国以外との貿易協定や各種制度の改変など、難題は山積しています。この間、英国だけでなく欧州全体を不透明感が覆い、景気を抑制する可能性が高いと考えられます。

また、今回の国民投票がEUの他の加盟国に与えた潜在的な影響も小さくありません。EU内のいくつかの国では、低成長の長期化や、同じく大規模な移民の流入などを背景に、反EUの勢力が伸長しつつあり、やがて英国と同様に国民投票の実施を求める声が高まることで、EU統合の深化に再びほころびが生じる可能性も否定できません。

金融市場はリスク回避局面に

市場のリスク回避も必至です。国民投票の結果を受けて、すでに市場は大荒れの様相を呈しています。予想される各国協調での政策対応(流動性供給、利下げ、為替市場介入など)が一定の市場下支え要因として働くと考えられますが、とりわけ英ポンドについては英国の多額の経常赤字にも鑑みれば、大幅な調整を強いられそうです。英ポンドだけでなく、欧州通貨全般が下落する中、一方で大幅な円高が進んでいます。不確実性が著しく高いため、市場が落ち着きを取り戻すには相応の時間がかかると思われ、一段の円高・株安の進行に警戒する必要があります。

以上

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