カナダの政策金利発表と金利・為替の見通し

  • マーケットレター
  • 2016年06月

政策金利~カナダ銀行は政策金利を据え置き

5月25日(現地、以下同様)、カナダ銀行(中央銀行)は政策金利(翌日物金利の誘導目標)を市場の予想通り0.50%に据え置くことを発表しました。カナダ銀行は声明文で、インフレに関するリスクがおおむね均衡しており、現状の金融政策スタンスは適切であると判断したと、据え置きの理由を説明しています。

2014年後半からの原油価格下落の影響で、カナダの経済成長はやや低調な状況が続いていました。しかし、エネルギー企業の生産調整が続く一方で、米ドルに対するカナダ・ドルの下落により価格競争力を増した製造業の輸出がカナダ経済をけん引する格好で、最近のカナダの経済は回復基調をたどっています。カナダ銀行は、「カナダの4-6月期のGDP(国内総生産)成長率は、アルバータ州の大規模な山火事の影響で石油生産が停止し約1.25%程度下押しされる見通しであるが、7-9月期には石油生産の再開や復興作業の開始に伴い、経済は持ち直す」との見通しを示しています。

カナダのインフレ率は、カナダ銀行が目標とする2%より若干低い水準で推移しています。しかしながら、原油価格が再び大きく下落することがなければ、今後はガソリンなどのエネルギー価格が物価の上昇要因に転じる可能性があります。カナダ銀行はまだ利上げを急ぐ姿勢を示しておらず、当面は米国の利上げの行方を見守るものと思われます。今後のスケジュールとしては、7月13日にカナダ銀行が政策金利を発表し、同時に公表される金融政策報告書では景気と物価見通しが示されます。

カナダ経済①~高まる財政刺激策への期待

5月下旬に開催された伊勢志摩サミットでも、低成長に対する各国の財政対応が議題にのぼりましたが、カナダにおいてはすでに景気対策予算が組まれています。近年のカナダは健全財政志向であり政府部門によるGDP成長率への寄与がほとんどありませんでしたが、今後は、インフラ(社会基盤)投資の拡大や減税による経済成長の底上げが期待できるとみています。

カナダ経済②~非エネルギー分野が経済をけん引

グラフは、カナダの品目別輸出の伸び率の推移を示しています。カナダの製造業関連の輸出が伸びており、カナダ・ドルの減価に伴う輸出競争力の改善が読み取れます。なお、足元の輸出の鈍化は主要輸出先である米国で1-3月期の経済成長が鈍化した影響とみられます。

また、次のグラフからは、製造業関連製品の輸出を主導する自動車および自動車部品の輸出額が大きく伸びていることがわかります。

カナダ・ドル①~資源国通貨として反発基調続く

原油価格の反発と歩みをともにして、カナダ・ドルは2月から反発基調に転じています。左のグラフでは、対米ドルでのカナダ・ドルの上昇が確認できます。この間、対円では下落しましたが、これは主にカナダ・ドルの上昇を円高が打ち消した結果であり、円以外の主要通貨との比較ではカナダ・ドルのパフォーマンスは好調でした。

カナダ・ドル②~原油価格上昇への出遅れを取り戻す

米ドル円相場に目を向けてみると、5月は米国の利上げが再びテーマとなり円安となりましたが、5月の米国雇用統計が米国の雇用情勢の改善が鈍っている可能性があることを示唆したため、先週末から為替市場は再び円高に振れています。しかし、米国は完全雇用に近く賃金上昇への懸念があるため、米国が金融政策の正常化を進めていることを背景とした日米の金融政策の方向性の違いは今後も残ると思われます。また、米国景気は1-3月期の減速から回復基調にあり、米国経済の相対的な優位性も米ドル円相場を下支えするとみられます。

5月下旬には原油価格が50米ドルを回復する中で、カナダ・ドルは一時的要因(アルバータ州の山火事)で出遅れました。しかし、カナダから米国への原油輸出量は増加傾向を維持しており、ここもとの原油価格の上昇もカナダ経済にプラスに働く可能性が高く、カナダ・ドルは5月の出遅れを早晩取り戻す展開になるとみています。

今後の見通し

新興国を中心に景況感は弱く、年後半も世界経済はぜい弱な成長を続ける可能性があります。しかし、カナダ国内を見れば財政による景気浮揚と金融緩和の維持、国外に目を転じれば主要輸出先である米国の景気回復と、カナダをめぐる環境は他地域よりも良好と考えています。景気の回復が進むとともに、金利は緩やかに上昇に転じるとみています。

為替は、引き続き商品価格の動向が鍵を握る展開が続きます。ここもとは米国の利上げ観測が強まっても市場のリスク選好姿勢が崩れなくなっている傾向があることから、良好な地合いのもとで資源国通貨の堅調な推移が続くと見込まれます。いくつかの産油国が苦境に陥っていることからも分かるように、足元の商品価格の水準は新興国経済が本格的に回復するにはまだ力不足とみられます。「北米経済の優位性」を背景に、安定したカナダのファンダメンタルズと資源価格への関連性を兼ね備えるカナダ・ドルは選好されやすいと考えています。

以上

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