メキシコ中央銀行が政策金利を0.25%ポイント引き上げ

  • マーケットレター
  • 2015年12月

メキシコ中央銀行が政策金利を0.25%ポイント引き上げ

メキシコ中銀は、定例の金融政策委員会の結果、12月17日(現地、以下同様)、市場予想通り政策金利である銀行間翌日物金利を0.25%ポイント引き上げ、3.25%とすることを発表しました。

政策金利は、2014年6月に0.50%の追加利下げが実施され史上最低の3.00%となった後、1年半にわたり据え置かれてきました。利上げは2008年8月以来となります。

利上げは市場の大方の予想通り

米国の利上げ開始観測や、メキシコの歳入に大きく影響する原油価格の下落を受けて、メキシコ・ペソは対米ドルでリーマンショック後の最安値を更新し、その後も弱含み傾向で推移しています。中央銀行は、ペソ安がインフレに波及することに警戒感を強め、7月には年内の金融政策公表の日程を、全て米国の政策金利決定後の数日以内に変更するなど、通貨安圧力の緩和のために米国の利上げ開始に追随する姿勢を示してきたため、今回の決定は市場の大方の予想通りとなりました。

今後は米国に必ずしも追随しない可能性も

インフレ率は緩やかに鈍化を続けており、インフレ目標レンジ(2~4%)内ながら中心の3%を下回って史上最低を更新し、コアインフレも沈静が続いています。原油価格の下落が続いており、製造業はやや低迷するなど、景気回復ペースの高まりの遅れが続いていることから、メキシコ・ペソの対米ドル相場の下落が大幅なものとなら なければ、今後のメキシコの利上げは必ずしも米国に追随しない可能性がやや高くなっていると思われます。

新興国の中では比較的有利な環境

メキシコ経済は、内需が堅調さを維持しており、先進国の中では相対的に好景気を享受している米国に対する輸出割合が高く、新興国の中では比較的有利な状況にあると思われます。また、産油国でありながらも、輸出に占める原油の割合は低く、輸出の主力は製造業が担うなど、新興国の中では特徴的な性質を有しています。

原油価格の下落に伴う歳入の減少に対しても、それに応じた歳出の削減を図るなど、財政の運営姿勢も健全さを維持しています。また、2012年12月に発足した現政権は、エネルギー開発や教育および通信事業の自由化などさまざまな分野で構造改革を進めており、インフレの低下にも表れているように、今後は構造改革の成果が潜在成長率の上昇をもたらすことが期待されます。

今回の中央銀行の政策金利引き上げは、通貨安を通じたインフレ上昇への予防的な措置という位置付けであり、メキシコ・ペソの為替相場の安定感を高めるものとなりそうです。

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