フィッチ・レーティングスがブラジルの格付けを引き下げ

  • マーケットレター
  • 2015年12月

フィッチ・レーティングスによる格下げ

12月16日(現地)、格付会社フィッチ・レーティングスはブラジルの自国通貨建て長期債格付けを「BBB-」から「BB+」に、外貨建て長期債格付けを「BBB-」から「BB+」に引き下げました。また、格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」を継続しました。

外貨建て格付けについては、すでに今年の9月にS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)が「BB+」に引き下げていましたが、今回フィッチは自国通貨建てと外貨建てをともに投機的格付けとしました。

格下げの理由

同社は格下げの理由として、想定以上の深刻な景気後退や、財政状況の継続的な悪化および不透明な政治状況を挙げており、これらにより、増加する債務を安定させるための財政措置を効果的に実施するための政府の能力が一段と損なわれる恐れがあるとしました。また、格付け見通しの「ネガティブ」を継続した理由について、景気や財政、政局から生じる状況の不透明さと継続的な下方リスクがあると説明しています。

今後の見通し

ブラジルでは景気が低迷しているにもかかわらず、政府が財政健全化を目指しているため、積極的な財政政策の発動が困難な状況です。また、インフレ率が高止まりしているため、中央銀行が金融緩和に転じるには今しばらく時間がかかりそうです。財政緊縮と高金利政策は、短期的な経済成長を犠牲にすることになりますが、中長期的にはブラジルが発展するための基盤作りとして必要な政策であり、投資家の信認を維持するための重要な取り組みと評価できます。ブラジル政府は2016年の財政収支目標を GDP(国内総生産)比0.5%と設定し、財政再建を目指しています。

しかしながら景気低迷により税収が不透明なことに加え、大統領と議会の関係は必ずしも良好ではないほか、有力政治家の逮捕や大統領の弾劾手続き開始により議会の審議がまひしており、財政再建法案の進捗の遅れが懸念されます。米国の利上げ開始や中国の景気減速への懸念もあり、ブラジルの金融市場は不透明感が払拭されにくく、短期的に市場が大きく変動する可能性があります。しかし、ブラジル中央銀行は通貨スワップなどによる米ドル売りレアル買い介入を、財務省は国債のバイバック(買い戻し)をそれぞれ必要に応じて実施するなど市場安定化に努めています。

以上

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