米国:ゼロ金利政策からの脱却

  • マーケットレター
  • 2015年12月

全会一致で0.25%ポイントの利上げを実施

12月15-16日(現地)に開催されたFOMC(米国連邦公開市場委員会)では全会一致で、政策金利であるFFレート(フェデラル・ファンド・レート)の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、0.25%~0.50%とすることが決定され、2008年12月以降の実質ゼロ金利政策に終止符が打たれました。また、「量的緩和」を通じて大量に保有している証券の償還金の再投資について、FFレートの水準の正常化が十分に進むまで継続するとの方針も明らかにされました。

利上げの根拠は、3月のFOMC以降、声明文に記されてきた利上げの要件である、「労働市場のさらなる改善と、インフレが中期的に2%の目標値に戻るとの程よい自信」が満たされたことにあります。足元のインフレ率は低いままですが、これはエネルギー価格の下落や米ドル高に伴う一過性の要因が大きく、やがて影響は消失するとFRB(米国連邦準備制度理事会)は考えています。イエレンFRB議長は、労働市場の強まりや、政策の効果が発現するまでのタイム・ラグを考慮すれば、利上げを遅らせて将来的に急な引き締めが必要になるリスクを避けるためにも、現時点での対応が適切であるとの見解を示しました。

声明文には、①今回の利上げ後も金融政策姿勢は緩和的なままであること、②インフレ率が目標値である2%を下回っている現状に鑑み、現実のインフレ率の進捗も注視すること、③経済状況はFFレートが緩やかにしか上昇しないことを正当化する格好で進展しそうであること、④しかし、今後のFFレートの実際の道筋は経済データ次第であることも明記されました。これらはいずれも市場予想通りで、サプライズはありません。金融政策の歴史的転換点と位置付けられますが、極めて円滑に利上げが開始されたと評価できます。

2016年中の利上げ幅は1%ポイントの見通し

市場が最も注目していたFOMC参加者のFFレートの見通しは、2016年末、2017年末、2018年末で、それぞれ1.375%、2.375%、3.25%(いずれも中央値)となっています。前回9月時点と比較すると、2016年末は変更がありませんが、2017年末と2018年末はそれぞれ前回の2.625%と3.375%から下方修正されました。2016年については、引き続き1%ポイントの利上げが予想されており、FRBはそれでも「緩やか」との認識ですが、市場コンセンサスは0.5%~0.75%ポイントの利上げとなっており、乖離があります。しかし、この点に直接言及する質問は、記者会見で発せら れませんでした。これは、今後の利上げペースが経済データ次第であるとの認識が市場に広く浸透していることの証しと考えられます。

緩和的な金融環境が市場の下支えに

FRBがこれまで十二分に市場との意思疎通を図ってきたこともあり、利上げにも関わらず、株価はむしろ金融政策に対する不透明感の後退を好感して上昇しました。イエレン議長は、データ次第であるとしつつも、今後の利上げのペースは緩やかであるとの見通しを繰り返し、緩和的な政策姿勢を訴えています。利上げがもたらし得る米ドル高の悪影響を考慮すれば、2016年中の利上げ幅はFOMC参加者の想定である1%ポイントを下回る公算が大きいと思われます。いずれにせよ、引き続き緩和的な金融環境が市場の下支えになると見込まれます。

以上

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