南アフリカ:ネネ財務相解任を受けた金融市場の反応について

  • マーケットレター
  • 2015年12月

財務相解任

南アフリカのズマ大統領は12月9日(現地、以下同様)、ネネ財務相を解任し後任にデービッド・ファンルーエン氏を任命するとの人事を発表しました。ネネ財務相は、2014年5月に2期目のズマ政権において財務相に任命されました。ズマ大統領は、ネネ氏を別の要職に就かせるとしていますが、解任の理由は明らかにしませんでした。

政府支出の拡大に関して大統領と対立

南アフリカでは、2008年のリーマン・ショック以降、低成長が続く中、財政赤字の削減が進まず公的債務負担の増加が課題となっています。ネネ氏は就任以降、歳出の抑制や国営企業への支援手控え、公務員への賃上げ幅を限定的にする必要性を強調し、財政支出の抑制に取り組んできました。しかし、与党ANC(アフリカ民族会議)の支持率低下が続く中で、歳出拡大を求める声が高まっていました。また、電力不足解消のための原子力発電所の建設計画についてネネ氏が承認を渋っていたことや、大統領と近い関係にあるとみられる国営南アフリカ航空会長の経営姿勢を批判したことなどで、ズマ大統領とネネ氏が対立していたとの報道もあり、こうした大統領や与党との関係悪化が今回の解任の背景にあるものと考えられています。

市場の信認が厚かったネネ氏に対して、新財務相に起用されたファンルーエン氏は、知名度も低く大統領が進める支出拡大計画に反対する可能性は低いとみられており、南アフリカの財政に対する懸念が高まる結果となりました。

金融市場は下落

財務相人事の発表後、金融市場では売り圧力が高まりました。為替市場では、南アフリカ・ランドが、対米ドルで一時15.48ランド台まで急落し、年初来最安値を更新しました。対円では、7.93円(11日仲値)前後で取引されており、9日仲値(8.43円)からは約5.93%の下落となっています。

債券市場では、国債利回りが上昇し、10年国債金利は9.87%と前日に比べて1%程度の大幅な金利上昇となりました。

今後の注目点

今後は、格付会社の動向が注目材料となります。同国の格付けについては、12月4日にフィッチ・レーティングスが、自国通貨建ての格付けを「BBB」に、外貨建ての格付けを「BBB-」にそれぞれ1段階引き下げたほか、スタンダード・アンド・プアーズは、見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げています。今回の財務相人事をきっかけに南アフリカの財政政策が拡張路線に転換されれば、格下げ圧力が高まることも考えられます。

また、新財務相となったファンルーエン氏の財政方針にも注目が集まります。同氏は、前任のネネ氏に比べて国内外での知名度は低いものの、ロンドン大学で財政学の修士号を取得するなどの学歴を持つほか、1994年から2007年にかけてANCのさまざまな要職を歴任しており、財務相に必要なスキルを持ち合わせているとも考えられます。

突然の財務相交代を受けて金融市場は不安定な動きとなっていますが、2016年2月末に発表予定の新年度予算に向けて財政赤字削減方針を維持するなど新財務相の下で財政政策に対する市場の信認を取り戻す施策を打ち出すことができれば、金融市場も落ち着きを取り戻していくものと考えています。

以上

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