ブラジルの政治情勢について

  • マーケットレター
  • 2015年12月

与党・重鎮の逮捕

ブラジル連邦警察は11月25日朝(現地)、与党・労働党の有力者であるデウシジオ・アマラル上院議員をペトロブラス関連の汚職捜査の妨害容疑で逮捕しました。また、独立系投資銀行国内最大手のBTGパクチュアルのアンドレ・エステベス最高経営責任者(CEO)も同時に逮捕されました。

アマラル氏は経済問題委員会の委員長を務める議員で、ルセフ大統領の財政緊縮プログラムの鍵を握る人物ですが、ブラジル史上で初めてとなる現職の上院議員逮捕で政局は不透明感が高まっています。財政目標引き下げ審議の最中に政財界の有力者が逮捕されたことにより、議会には動揺が走っており、レビ財務大臣も財政目標に関する審議の遅れに懸念を表明しています。

ルセフ大統領は訪日を中止

今年は日本とブラジルの国交120周年に当たり、ルセフ大統領は12月2日(日本時間)から3日間に及ぶ日本への公式訪問を予定していましたが、不透明な政局の中で訪日が中止されることになりました。

ブラジルの予算法によると、政府がプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字の目標を達成できない場合、強制的な予算凍結が義務づけられれています。アマラル議員の逮捕で議会が混乱していることもあり、現状では今年の財政目標の引き下げ法案が議会を通過していません。政府は同予算法に基づき、今年の歳出を100億レアル(約3,200億円)余り削減する方針ですが、そのための審議への対応が訪日を中止せざるを得なかったことの背景にあるとみられます。

今後の見通し

ブラジルでは景気が低迷しているにもかかわらず、政府が財政健全化を目指しているため、積極的な財政政策の発動が困難な状況です。また、インフレ率が高止まりしているため、中央銀行が金融緩和に転じるには今しばらく時間がかかりそうです。財政緊縮と高金利政策は短期的な経済成長を犠牲にすることになりますが、こうした政策は中長期的にはブラジルが発展するための基盤作りとして必要な政策であり、投資家の信認を維持するための重要な取り組みと評価できます。

政局動向については、ルセフ大統領の弾劾に関する懸念が現状ではやや後退しているものの、ペトロブラスの汚職事件の捜査により、政府および与党の重鎮が逮捕されるなど、政局は先行きが見通せない状況が続いています。大統領の支持率が低下しており、議会との関係が必ずしも良好ではない中、汚職捜査などで政局運営は難航しています。与党議員が逮捕されたことで、財政健全化の議会支持を得るには時間がかかる見込みです。また、米国の利上げが控える中、中国の景気減速への懸念もあり、ブラジルの金融市場は不透明な状態が続いており、短期的には市場が大きく変動する可能性があります。しかし、ブラジル中央銀行は通貨スワップなどによる米ドル売りレアル買い介入を再開し、財務省は国債のバイバック(買い戻し)を実施するなど、当局は必要に応じて市場安定化に努めています。中長期的には現在の政策が実を結び、ブラジル経済が成長軌道に回帰することで市場の回復が期待されます。

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