トルコ:最近の金融市場動向について

  • マーケットレター
  • 2015年11月

シリアとの国境付近でトルコ軍がロシア軍機を撃墜

11月24日(現地、以下同様)、各種報道などによると、トルコ軍は「領空を侵犯した」として、ロシア軍機を撃墜した模様です。トルコ軍は、同国の領空侵犯をした国籍不明機に対して繰り返し警告を行った上で撃墜したとしていますが、ロシアはトルコ軍に撃墜されたことを認めた上で、トルコを強く批判しています。

今回の事件を受けて、北大西洋条約機構(NATO)は、ブリュッセルで大使級の緊急理事会を開催し、ロシア軍機がトルコの領空侵犯をしていたとの認識を表明し、トルコとロシアの双方に対して「冷静さ」と事態の「段階的な縮小」に向けた努力を求めました。

24日のトルコ金融市場は、トルコ軍がロシア軍機を撃墜したとの報道に反応して、通貨、株式、債券のトリプル安となりました。トルコ・リラが対米ドルで約1%の下落となったほか、株式(イスタンブール100種指数)が約4.4%下落し、トルコの10年国債金利は0.25%の金利上昇となりました。

金融政策決定会合では9カ月連続で金融政策を維持

トルコ中央銀行は11月24日に行われた定例の金融政策委員会で、1週間物レポ金利を7.50%に据え置くことを決定しました。ブルームバーグの事前調査では、18名中17名が据え置きを予想しており、おおむね市場予想通りの結果となりました。

また、翌日物貸出金利(コリドー上限金利)と翌日物借入金利(コリドー下限金利)もそれぞれ10.75%と7.25%で据え置いており、9カ月連続で主要3金利がすべて据え置かれました。声明文も、特段に大きな変化はなく、引き続き、今後の金融政策はインフレ見通し次第としています。

今後の構造改革の進捗に期待

11月1日の再選挙で単独過半数を獲得したAKP(公正発展党)は、24日に新内閣の人事を発表しました。経済関連の閣僚人事では、最も注目を集めていた人物の1人であるババジャン元経済担当副首相が閣僚ポストに就かなかったものの、同じく市場からの信任が厚いシェムシェキ元財務大臣が副首相のポストに就きました。今後は、シェムシェキ氏が経済対策チームを取り仕切るとみられており、現地ではババジャン氏が入閣しない形では、最良との評価も聞かれます。

今回の新内閣人事は、ババジャン氏の入閣がなかったこと以外は、他の人事も含め経済改革の進展が期待できる陣容と考えられます。今後は、構造改革の進捗度合いに注目が集まると考えられます。

AKPは、建国100周年となる2023年までに、経済規模で世界トップ10入りすることを目指しています。新興国全般において景気減速感が漂う中、トルコにおいても景況感が悪化しており、単独政権を獲得した今、さまざまな政策を通じて経済成長を後押しすると考えられます。

足元では、ロシア軍機の撃墜をめぐり地政学リスクが高まることも想定されますが、事態が落ち着きを取り戻せば、今回の内閣人事など、あらためてトルコの材料に注目が集まりやすいと思われます。

以上

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