原油価格下落の影響

  • マーケットレター
  • 2014年12月
~世界の経済成長率を押し上げ~

原油価格下落の背景と為替市場への影響

原油価格の動向に市場の注目が集まっています。米国の代表的な原油価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエイト)先物は6月末から約50%下落し、およそ5年ぶりの安値となりました。

原油価格下落の背景は、供給面と需要面の両面にわたります。シェール革命による北米での生産量拡大や、これまで価格調整役を担ってきたOPEC(石油輸出国機構)が減産を見送る姿勢を続けていることが、供給面での価格下落圧力になっています。また、IEA(国際エネルギー機関)やOPECが相次いで2015年の原油需要見通しを下方修正しており、原油価格下落にもかかわらず原油需要が依然として弱いとの見方も、価格調整が大幅になっている要因です。

こうした原油価格の下落を背景に、一部の通貨の為替レートは下落しました。原油輸出の縮小による財政への悪影響や、原油採掘の採算悪化に伴う関連産業の減収への連想が材料視された模様です。経済の原油輸出への依存度が高い、ノルウェー、コロンビアやロシアの通貨は、特にパフォーマンスが低迷しました。金融市場では原油価格下落の「負の影響」をまず織り込んだ格好です。

原油価格下落のプラス効果

しかしながら、原油価格の下落には、世界経済を押し上げる「プラスの効果」も指摘できます。

プラスの効果の第一は、原油価格下落による原油輸入代金支払いの減少により、原油輸入国が原油輸出国から実質的な所得移転の効果を得ることです。原油輸入国である我が国は言うに及ばず、欧州や米国も相当量の原油を輸入しており、原油価格下落の恩恵が期待されます。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は12月初めの講演で、原油価格20米ドルの下落により年間約6700億米ドル(約80兆円、1米ドル120円で換算)の所得移転が生じるとの見方を示しています。

第二のプラスの効果として、原油価格の低下が燃料価格低下を促すことで、生産コストの低下を通じた製造業へのプラスの効果や、家計の可処分所得の改善を通じた消費喚起効果も期待されます。物価への押し下げ効果により金融緩和環境が強化されるとも考えられ、企業利益および投資への追い風となります。IMF(国際通貨基金)は12月22日付のレポートで、原油価格の下落がなかった場合と比べて、世界全体の経済成長率が2015年に0.3~0.7%ポイント、2016年には0.4~0.8%ポイント押し上げられるとの試算を示しました。

足元は、産油国の苦境やエネルギー関連産業への懸念が金融市場では先行して織り込まれています。このまま原油価格が低位安定で推移すれば、今後は世界の経済成長の押し上げや原油輸入国でのインフレ圧力後退が、金融市場の環境改善に寄与することが期待されます。

以上

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