FRBはどれだけ忍耐強くいられるのか

  • Market Eyes
  • No.257

FRBは忍耐強くなり、インフレ率の上振れ容認へ

今年1月のFOMC(米国連邦公開市場委員会)では、「政策金利の調整に忍耐強くなれる」と述べ、事実上、今後数回の会合においては利上げを実施しないことを示唆した。それでは、FRB(米国連邦準備制度理事会)は、いつになれば忍耐強くなくなるのか。換言すると、どのような条件が整えば利上げが再開されるのだろうか。
FRBが利上げを再開する理由としてもっともらしいのは、「インフレ圧力の高まり」である。しかし、この数カ月間、FRBメンバーから発せられたメッセージでは、むしろある程度のインフレ率の上振れを容認する姿勢が強調されている。

インフレ率が恒常的に下振れていることへの懸念

FRBの物価目標は2%だが、実際にはほとんどの期間で2%を下回っている。【図表1】
その結果、年率2%で物価が上昇した場合と比較して、実際の物価水準は低くなってしまっている。【図表2】(どの時点を基準にするかで程度に差はあるが、今次景気拡大局面では、大方どの時点を基準にしても実際の物価水準は年率2%で上昇した場合の物価水準を下回っている)

図表1 米国のインフレ率のグラフ 2009年6月から2018年12月 PCEデフレーターとコアPCEデフレーター
図表2 米国の物価水準のグラフ  2009年6月から2018年12月 実際の物価水準と年率2%で上昇した場合の物価水準

景気後退時の政策効果への懸念

昨年末の株価や原油価格の下落で浮き彫りになったのは、期待インフレ率の低下である。【図表3】もし米国が景気後退に陥り、FRBが利下げをする状態になった場合、これが問題になる可能性がある。「名目金利=実質金利+期待インフレ率」の関係があり、ゼロ金利制約(FRBはマイナス金利を導入しない)の前提のもとでは、利下げ(名目金利の低下)には限界があり、期待インフレ率が低ければ実質金利の低下余地が限られてしまう。結果、景気刺激効果が薄れ、景気回復が遅くなってしまうリスクが高まる。

図表3 米国の期待インフレ率のグラフ 2009年6月から2019年3月12日 5年先期待インフレ率

これを防ぐためには期待インフレ率を高位に維持する必要がある。景気後退時でもある程度の期待インフレ率を維持するためには、景気拡大時はさらに高く保つ必要がある。そして、期待インフレ率を高めるためには、実際のインフレ率を引き上げなければならない。そのために、インフレ率が2%を下回ればその分2%を上回ることを容認して平均が2%になることを目標にする、もしくは年率2%で上昇した場合の物価水準を目標にすることなどが案としてあがっている。

利上げが再開される可能性があるとすれば

上述の通り、FRBはある程度の物価の上振れを容認できるため、相当の間、忍耐強くいられるだろう。次に利上げをする理由になりうるのは、株式市場が過熱し、バブルを防ぐためである可能性が最も高いと考えられる。もちろん、FRBが直接的に株価水準を理由に利上げの是非について語ることはないだろうが、利上げが再開される頃には米国株は最高値を更新しているのではないだろうか。【図表4】

図表4 S&P500と米国の政策金利のグラフ 2009年6月から2019年3月12日
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