米国の利上げ停止で円高進行は本当か

  • Market Eyes
  • No.252

FRBが金融正常化に対して慎重姿勢に

この数カ月でFRB(米国連邦準備制度理事会)の政策姿勢が⼤きく変化した。12月のFOMC(米国連邦公開市場委員会)では、さらなる何回かの利上げが必要だとし、保有資産の縮小についてもこれまで通り自動操縦型が望ましいとする見解を示した。しかし、年末にかけての株式市場の急落など金融市場の混乱に配慮するかたちで、年初からFRBの姿勢が変化した。1月4日にパウエルFRB議長はインタビューで、必要があれば迅速に、かつ柔軟に政策変更ができる旨の発言をした。そして1月末のFOMCでは、政策金利の調整に忍耐強くなれると述べ、事実上、今後数回の会合においては利上げを実施しないことを示唆した。さらに、保有資産の縮小についても、従来の想定よりも早期に終了することを示唆し、市場が期待していた以上に金融市場に配慮した姿勢を示した。【図表1】

【図表1】FRBの保有資産と政策金利

米国の長期金利は安定推移へ

昨年10月から低下してきた米国の長期金利も足元で落ち着きどころを探る動きとなっている。【図表2】金融市場が織り込む今後1年間の利上げ回数についてもほぼ0回のところまで低下している。【図表3】目先、利下げが必要になるほど米国経済が急減速する兆候は見られないため、長期金利の低下余地も限定的であろう。一方、FRBがすぐに利上げを再開する可能性も低いため、長期金利は上昇余地も⼤きくないと思われる。そのため、長期金利は当面、現状水準でおおむね横ばい圏での推移となることが予想される。

【図表2】米国の長期金利(10年国債利回り)
【図表3】市場が織り込む1年先までのFRBの利上げ回数

「米ドル安=円高」とは限らない

FRBが利上げを停止すれば米ドル安を連想しやすいが、急速な米ドル安円高が進行する可能性は低いと考えている。ここ数年は米ドルと円が同じ方向に動くケースが多い。【図表4】そのため、米ドル円の値幅は小さくなっている。2017年は、米長期金利の低位安定がリスク・オンを誘発し、新興国通貨など高金利通貨に資金が流れたため、米ドル安と円安が同時に進行した。一方、2018年は米長期金利の上昇懸念が高まる中で、新興国通貨などは売られやすい地合いとなり、米ドル高と円高が同時に進行した。

【図表4】各通貨の年間騰落率

米ドル安・円安の展開か

引き続き通商問題など政治情勢の変化には注意が必要だが、米国の金融政策における不透明要因が後退したことは金融市場にとって好材料だ。米長期金利の安定がリスク・オンを誘発すれば、どちらかといえば2017年のように、新興国通貨などに対して米ドル安・円安の展開になりやすいと考えられる。

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