OPEC加盟国の減産が原油価格を押し上げるか

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イランの原油輸出量が急減

足元でイランの原油輸出量が急減している。【図表1】米国はイランへの経済制裁に際し、中国、インド、韓国、日本、トルコ、台湾、イタリア、ギリシャについては、イラン産原油の輸入停止を今年5月まで猶予している。しかし、中国が昨年11月から12月にかけて、イランからの原油輸入量を一気に10分の1程度に縮小させてきた。これにより、すでにイランの原油輸出量は、前回2015年までの制裁時よりも少なくなっている。今後、3月までの年間契約を結んでいる日本の石油元売各社が一時的にイランからの輸入を再開することなどが見込まれるが、猶予期限となっている5月にかけては再度イランの原油輸出量が減少することが想定される。

【図表1】イランの国別原油輸出量
【図表2】イランの産油量

OPEC加盟国の大幅減産が見込まれる

昨年12月のOPEC(石油輸出国機構)総会を経て、OPECは今年1月からの産油量を昨年10月の水準に対して日量80万バレル減少させる協調減産を実施している。ただ、OPECの月報によると、12月時点ですでに、減産を猶予されているイラン、リビア、ベネズエラの3カ国だけで日量80万バレルを超える減産となっている。減産対象国だけで日量80万バレルの減産を順守できるかは疑問が残るものの、減産猶予国を含めたOPEC全体でみれば、⼤幅な減産になる可能性が高まっている。

ベネズエラの政情不安にも注目

足元ではベネズエラの政治情勢も一段と不安定化している。同国の米国向け原油輸出量は日量40万バレル程度あるが、米国はこれをゼロにすることも検討しているようだ。【図表3】現時点で原油価格を少し押し上げる材料になっており、展開次第ではさらに需給のひっ迫が意識されることもありうる。一方、もしマドゥロ政権が打倒され、親米的な新政権が発足すれば、長期的には産油量が⼤きく回復することが期待される。ベネズエラ情勢は原油価格を上下に変動させる材料となりうるため、今後も注目されよう。

【図表3】ベネズエラの国別原油輸出量と産油量

想定レンジは引き続き40~60米ドル

目先、OPEC加盟国の供給減少が見込まれるため、WTIは直近で上値抵抗となっている54米ドル/バレルを上抜けることができれば、60米ドルも視野に入ってくると思われる。もっとも、イランの減産状況をみてOPECが減産目標を変更する可能性が高く、この供給不足の思惑は長続きしないだろう。また、米国では今年後半から産油量が一段と拡⼤することが見込まれており、上値は抑えられやすいと考えられる。【図表4】以上より、昨年11月配信のNo.242で示したWTIの想定レンジ40~60米ドルを維持する。

【図表4】米国の産油量と原油掘削リグ稼動数
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