コロナ後の原油価格のフェアバリュー

  • Market Eyes
  • No.318

損益分岐点は期先の原油価格と連動

WTI原油の期先物(第60限月など)は、おおむね米国のシェールオイルの損益分岐点に沿って推移する特徴がある。【図表1】これは、一部のシェール企業が原油先物を売ることで、価格変動リスクをヘッジしていることに起因する。

図表1 原油価格と米国のシェールオイルの損益分岐点 (2014年1月初から2020年6月29日)
(出所)カンザスシティ連銀、ダラス連銀、ブルームバーグ

通常は「期近物」<「期先物」

原油を現物で保有する場合には保管場所が必要になり、そのコストは保管する期間に比例して大きくなる。そのため、原油価格のフォワードカーブについても、期近物よりも期先物の方が高くなるのが通常である。【図表2】

図表2WTI原油先物価格のフォワードカーブ (第1限月から第60限月)
(出所)ブルームバーグ

なお、第1限月や第2限月など期近物の価格は、短期的な需給バランスの変化(地政学リスク、景気変動など)によって、基本的に期先物よりも少し低い水準を中心に上下動する。【図表1】
以上より、おおむね「シェールオイルの損益分岐点」≒「期先物の原油価格」>「(期近物の)原油価格のフェアバリュー」との関係が得られる。

コロナ禍で損益分岐点は切り下がり

原油価格が大きく変動すると、生産コストの高い企業が参入したり淘汰されたりすることで、損益分岐点は変化する。例えば、2014年から2016年にかけて、WTI原油の期近物が100米ドル台から20米ドル台へ下落し、多くのシェール企業が淘汰され損益分岐点が切り下がった。これは月次で取得できる地域ごとのデータを見る方が分かりやすい。【図表3】そして、年初からの原油価格急落によって一段と損益分岐点が切り下がっている。

図表3 米国の地域ごとのシェールオイルの損益分岐点(2014年1月から2020年5月)
(出所)ブルームバーグ

筆者は、原油価格のフェアバリューが、コロナ前の50米ドル前後から40米ドル台前半に低下した可能性が高いと考えている。なお、常に原油価格がフェアバリューに回帰するとは限らず、またフェアバリュー自体も変化するが、現状の価格が高いか安いかを判断する材料の1つとしてフェアバリューを認識しておくことは重要だと思われる。

(調査部投資戦略課岩手幸久)

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