トルコの試練はこれから

  • Market Eyes
  • No.315

大幅な経常赤字は継続へ

6月12日に発表されたトルコの4月経常収支は▲50.6億米ドルとなり、市場予想の▲44.0億米ドルを上回る赤字幅を記録した。【図表1】トルコの経常収支の特徴は貿易赤字をサービス黒字が補う点だ。しかし、サービス収支と外国人観光客数の連動性が示す通り、新型コロナウイルス問題によって観光客数が激減したことでサービス黒字が消失し、貿易赤字を補えていない。【図表2】

図表1 トルコの経常収支 (2016年1月から2020年4月)
(出所)トルコ中央銀行
図表2 トルコのサービス収支と外国人観光客数 (2016年1月から2020年4月)
(出所)トルコ中央銀行、トルコ統計局

トルコ政府は6月12日、新型コロナウイルス対策として続けてきた国境の封鎖措置について、イランとの陸路を除くほぼ全てを解除した。しかし、直ちに観光客数が例年の水準に回復するとは考えられず、少なくとも来年の観光シーズンまでは経常赤字基調が継続すると想定しておくべきだろう。

利上げよりも優先される選択肢

3月、4月と大幅な経常赤字に対して、準備資産の資金流入(外貨準備の取り崩し)が通貨安圧力を緩和させてきた。【図表3】しかし、外貨準備は直近で550億米ドル程度しか残っておらず、足元の経常赤字1年分にも満たない額だ。

図表3 トルコの金融収支 (2016年1月から2020年4月)
(出所)トルコ中央銀行

当面、直接投資が活発化する状況とは言えず、株式市場への継続的な資金流入を期待するのも難しい。また、これまでの大幅な利下げで債券投資の魅力も低下した。通貨安圧力を緩和させるためには、大幅な利上げによって債券投資の魅力を再び高めるのが手っ取り早いが、景気回復を優先する政権の意向を考えれば利上げのハードルは高い。
なお、足元でトルコ中銀はスワップ市場に介入し、外貨準備を減らさずに通貨の下落を抑制しているが、これは数カ月程度の時間稼ぎに過ぎず、再び外貨準備を取り崩さざるを得なくなるだろう。そして、利上げよりも優先される選択肢として、金の売却も視野に入ってくるのではないか。No.311の金価格の下落シナリオにつながる話だ。

(調査部投資戦略課岩手幸久)

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