ブラジル・レアルの反発を支えた影の要因

  • Market Eyes
  • No.312

レアルの反発が顕著

ブラジル・レアルは、年初から5月13日までに対米ドルで32%下落したが、そこから6月8日までに22%上昇した。【図表1】反発の要因として、世界的な投資家心理の改善や国内の政治的不透明感の後退などがあげられる。

図表1 ブラジル株式への資金フローと為替レート (2016年1月初から2020年6月8日)
(出所)ブルームバーグ

しかし、海外投資家のブラジル株式への資金フローをみると、一方的な流出が止まったとはいえ、勢いよく流入している様子もない。足元のレアルの反発を支えている影の要因として、実需の資金フローの改善も考えられる。

経常収支が過去最大の黒字に

4月の経常収支は38億米ドルの黒字となり、データを遡れる期間で最大の黒字幅となった。【図表2】国内経済の低迷(輸入の急減)による貿易黒字の拡大や渡航制限によるサービス赤字の縮小などが経常収支を改善させた要因だ。いずれも経済の弱さを示す内容だが、通貨にとっては好ましいと言える。ただ、4月はまだ証券投資の資金流出が大規模であり、金融収支は41億米ドルのマイナスであった。【図表3】そのため、経常黒字は通貨安を緩和させる存在にすぎなかった。しかし、足元で証券投資の資金流出が和らぐことで通貨安圧力が弱まっており、経常収支の黒字が通貨の押し上げ要因になっていることが考えられる。

図表2 ブラジルの経常収支 (2010年1月から2020年4月)
(出所)ブラジル中央銀行
図表3 ブラジルの金融収支 (2010年1月から2020年4月)
(出所)ブラジル中央銀行

経済が弱い=通貨安とは限らない

ブラジル国内の新型コロナウイルス問題は収束の目処が立っておらず、今後も主要輸出相手国である米国や中国に比べて弱い経済状態が続くだろう。しかし、前述の通り、相対的な経済の弱さは貿易収支を改善させ、また、渡航制限の継続もブラジルのサービス収支にとっては好材料だ。単に新型コロナウイルスの新規感染者数が多いことや経済の弱さが通貨安に直結するとは限らない。
(調査部投資戦略課岩手幸久)

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