金価格の下落シナリオ

  • Market Eyes
  • No.311

金価格に強気の見方は多いが

この数カ月、国内外問わず金価格に対して強気の見通しが多く見受けられた。その中で当社は、4月20日配信の『投資環境見通し(2020年5月号)』(作成基準日は4月14日)において、金価格の1年程度先の見通しを「やや弱気」に変更し、下落シナリオを提示してきた。【図表1】

図表1 金価格と当社の見通しのグラフ (2020年1月2日から2020年6月5日)
(出所)ブルームバーグ、大和アセットマネジメント

ETFへの資金流入が止まると危ない

昨年の金価格の上昇をけん引したのは、主にETFへの資金流入と投機筋(非商業部門)による先物買いだ。【図表2】しかし、年初から投機筋は買いポジションを縮小させている。また、新型コロナウイルス問題などによって宝飾品などの実需も細っている。同時にロックダウンの影響で採掘やリサイクルが滞り、供給懸念もあったが、足元では経済活動が段階的に再開される中で、実需よりも先に供給への懸念が解消されつつある。

 図表2 金ETF残高と非商業部門の金先物ポジションのグラフ (ETF:2014年1月1日から2020年6月5日) (先物:2014年1月7日から2020年6月2日)
(出所)ブルームバーグ

したがって、金価格を支えるためにはETFへの資金流入が続く必要がある。しかし、6月3日まで29営業日続いてきた金ETFへの資金流入は、4日と5日に資金流出となっており、金価格の上昇を信じてきた投資家の行動に変化の兆しが出ているのかもしれない。実際、金価格は今年4月14日の高値1,756.7米ドルを未だに超えていない。

トルコの外貨準備高減少も懸念

さらに、トルコでは観光収入の激減によって当面は大幅な経常赤字が継続する見込みだ。トルコ中銀は通貨安を抑制するために外貨を取り崩してきたが、いよいよ金を手放さなくてはならない状況が近づいているように思われる。【図表3】トルコ中銀の金保有額は金ETF残高の2割超に相当する規模であり、同行が売却に動けば市場への影響が懸念される。果たして、金価格は上がって当然という風潮がいつまで続くのだろうか。
(調査部投資戦略課岩手幸久)

 図表3 トルコの外貨準備高と金準備高のグラフ (2014年1月3日から2020年5月29日、週次)
(出所)トルコ中央銀行
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