香港デモでも株式市場は冷静

  • Market Eyes
  • No.278

逃亡犯条例の改正に大規模デモ

香港で、中国本土への犯罪容疑者の引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正を進める香港政府に対して、改正に反対する市民が抗議集会(デモ)を開催した。もし、同法案が可決すれば、実質的に香港市民も中国当局による取り締まりの対象になる恐れがあり、香港経済の根幹を成してきた「一国二制度」が揺らぐ可能性も出てくる。そのような場合には、香港の経済・金融センターとしての世界的地位が低下することも懸念される。
デモは、6月9日に主催者発表で103万人(警察発表では24万人)、6月16日に主催者発表で200万人(警察発表では33万8千人)が参加する大規模なものとなった。また、6月12日にはデモ隊が立法会ビル(日本の国会議事堂に相当)周辺に集まり、警察官がこれらの人々を催涙スプレーなどで鎮圧しようとする様子が報じられ、世界的に同条例の改正に対する関心が高まった。

政府は条例改正の審議を無期限延期

香港政府は、逃亡犯条例の改正に対する市民の不安を考慮し、6月15日に改正案の審議を無期限に延期することを発表した。また、香港政府のトップである行政長官も市民に謝罪の意を表明し、事態の収束を図った。
しかし、改正に反対する一部のグループは審議の無期限延期ではなく同法案の「撤回」を主張している。さらに、米国政府が6月下旬のG20大阪サミットで香港情勢について中国と議論する意向を示すなど、海外からも撤回に向けての圧力がかかっている。市民の反発が強い同法案の審議を再開することは難しいと思われ、行政長官も年内に審議入りするのは不可能との見解を示している。また、来年秋には立法会議員の任期(選挙)を迎えるが法案は任期をまたぐことができないため、来年夏の最後の会期で可決できなければ同法案は自動的に廃案となる見込みだと報じられている。従って、同法案は廃案もしくは撤回というかたちになることが予想され、事態は収束に向かうことが期待される。

香港株式市場は比較的冷静な反応

これまでのところ大規模デモが開催される中でも、香港株式市場の反応は限定的だ。【図表1】当社現地職員によると、実際のデモは日本で報道されている過激な状況はごく一部であり、全体的には平穏な雰囲気とのことである。それが株式市場の反応にも表れているのだと思われる。
香港株式市場では、中国の電子商取引大手であるアリババ集団が米国のニューヨーク証券取引所に加えて香港証券取引所への上場を申請していることが注目されている。背景には、米中貿易摩擦の激化を懸念して、ADR(米国預託証券)で米国に上場している中国企業が上場先の多様化を検討しているとの見方もある。同社は香港への上場により200億米ドル程度を調達すると報道されており、米国に上場している中国企業による香港への重複上場が相次げば、香港株式市場に対する投資家の関心が一段と高まることが期待される。

図表1 香港ハンセン指数
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