FRBによる利下げのハードルはまだ高い

  • Market Eyes
  • No.274

FRBは市場の利下げ観測をけん制

FRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、4月30日~5月1日(現地)開催のFOMC(米国連邦公開市場委員会)後の会見で、足元のコアPCEデフレーターの鈍化は一部品目による特殊要因であり、ダラス連銀が算出しているトリム平均コアPCEデフレーターが安定的に推移していることを引き合いに出し、市場の利下げ観測をけん制した。【図表1】これを受け、FFレート先物を基に算出される市場が織り込むFRBによる年内の利下げ確率は低下した。【図表2】

図表1 米国のインフレ率
図表2 市場が織り込むFRBによる年内の利下げ確率

年内の利下げ織り込みが再び進む

しかし、5月上旬に米中通商交渉が暗礁に乗り上げて以降、再び利下げ織り込みが進み、直近で年内の利下げ確率は8割を超えている。また、年内に2回以上利下げする確率も4割を超えた。先週発表された5月のマークイットPMI(購買担当者景気指数)が大幅に低下するなど、景気の先行きに対する懸念は確実に強まっている。【図表3】

図表3 米国のマークイットPMI

利下げに踏み切るハードルは高い

もっとも、実体経済への悪影響が明確に出ない限り、FRBが実際に利下げする可能性は低いと考えられる。米中関係の悪化による景気減速懸念でFRBが予防的に利下げし、景気に対する懸念が和らげば、トランプ政権が一段と強硬姿勢に出る可能性が高まる。結果、さらなる利下げが必要になるという循環に陥ってしまいかねない。そのため、FRBは政策金利の調整に対して忍耐強い姿勢を維持せざるを得ないと思われる。
結局、利下げの有無は米中交渉の結果次第ということになろう。①交渉決裂・関税引き上げ→景気悪化・実際に利下げ、②交渉合意→景気に対する懸念後退・利下げ確率低下(金利上昇)、③交渉継続→FRBも様子見姿勢を継続、など様々なシナリオを想定しておく必要があると考えられる。

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