今回の株価急落が金融危機の前兆と思えない理由

  • Market Eyes
  • No.247

米国株は大幅下落

NYダウは10月に付けた史上最高値から、およそ19%下落した。【図表1】一部には、リーマン・ショックのような金融危機を懸念する見方もあるようだが、その可能性は低いと考えられる。

図表1 NYダウの推移

家計・企業ともに信用膨張は生じていない

【家計の債務は低水準】

リーマン・ショックの引き金となったのは、サブプライム・ローンをはじめとする家計の債務膨張であった。【図表2】当時、可処分所得に対する家計の債務返済額の割合は13%を超えていた。しかし、現在は10%を下回る水準まで低下しており、過去と比較すると負債比率は小さいといえる。家計の信用収縮がきっかけで金融危機に発展する可能性は低いだろう。

図表2 米国家計の債務返済額(対可処分所得比)

【企業の負債も管理可能な水準】

企業の債務拡⼤が次なる金融危機の芽だと指摘する声が増えている。実際、歴史的な低金利環境下で企業は社債の発行を増やしてきた。【図表3】ただ、2017年末に⼤型減税が成立して以降、名目GDPに対する社債発行残高の割合は若干低下している。これは、海外留保資金の還流により、増加した手元資金を社債の返済に充てたこと、自社株買いのために社債を発行する必要性が低下したこと、などが要因として考えられる。また、企業が保有する金融資産残高に対する負債残高の比率は右肩下がりとなっている。【図表4】したがって、企業の負債はあくまでも管理可能な水準にあるといえよう。

図表3 米国企業の社債発行残高(対名目GDP比)
図表4 米国企業の負債残高(対金融資産残高比)

米政府やFRBの方針転換に期待

現在、最⼤のリスクは株式市場の下落そのものが金融危機を誘発してしまうことだと思われる。株式市場の下落が、投資家心理を悪化させ、低格付け債券などの利回りが急騰することで信用不安が高まる可能性がある。したがって、金融危機を引き起こさないためには、過度な株式市場の下落を回避する必要がある。

株式市場の下落の主因は、米政府による対中国をはじめとする対外強硬姿勢とFRB(米国連邦準備制度理事会)による金融正常化最優先に見える政策姿勢であろう。しかし、2020年の⼤統領選で再選をめざすトランプ⼤統領にとって、米国景気よりも対中強硬政策を優先する動機は乏しいだろう。FRBにおいても、景気動向を無視して金融正常化を進めなければいけないほどインフレ懸念が高まっているとはいえまい。早晩、両者の政策が株式市場に融和的な方向に転換することが期待される。

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