イランへの経済制裁と原油価格の動向

  • Market Eyes
  • No.239

イランへの経済制裁で原油価格が上下に振れる

11月5日、米国はイランへの経済制裁の一環として、イラン産原油の禁輸措置を発動した。当初、米国政府は各国に対してイランからの原油輸入をゼロにするよう求めてきた。これが原油の供給不足を想起させ、原油価格を押し上げる一因となった。【図表1】しかし、原油価格の高騰が経済に与える影響などを勘案し、米国政府は徐々に態度を軟化させた。米国内での原油在庫の増加や原油需要の伸び悩み観測などもあり、原油価格は10月頭から下落に転じた。

イランの原油輸出量は見通しづらくなった

ポンペオ米国務長官は制裁発動に際し、中国・インド・イタリア・ギリシャ・日本・韓国・台湾・トルコについては、イラン産原油の輸入停止を180日間猶予することを表明した。

日本など多くの国は、制裁発動を前にイランからの原油輸入を削減・停止してきた。【図表2】対照的に、中国は10月に輸入を増加させた。しかし、これは制裁発動前の駆け込み需要の可能性がある。一部報道によると、中国の原油輸入業者は11月分のイランからの輸入手続きを行なっていないようだ。また、中国は8月から10月にかけて、サウジアラビアからの輸入を日量40万バレル程度増やしている。イランからの輸入を削減する準備は進めていたようだ。よって、11月のイランから中国への輸出は大幅に減少すると思われる。

今回の制裁発動を機に数カ月間は、イランからの輸入を増加させる国もあれば、減少させる国もあるだろう。今後のイランの原油輸出量は、180日間の猶予を認められた各国の対応次第ということになり、先行きは見通しづらくなった。

当面は不安定な値動きが続く可能性

イランやベネズエラの産油量減少を穴埋めするために、他のOPEC(石油輸出国機構)加盟国などが増産に動いてきた。【図表3】そのため、イランの産油量が想定よりも減少しないのであれば供給過多が意識される。一方、OPEC加盟国の増産余地は縮小している。【図表4】カショギ記者殺害事件で揺れるサウジアラビアの動向次第では、再び供給不足が意識される可能性もある。

12月にはOPEC総会が開かれ、来年以降の各国の産油量について協議される予定だ。しかし、イランは制裁を受けている上に、サウジアラビアの求心力は低下している。原油価格の安定のためにOPEC加盟国が足並みをそろえられる保証はない。当面、原油価格は上下双方向に大きな変動リスクがあることを念頭に置くべきだろう。

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