米国10年国債利回りの上昇余地は

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  • No.227

利上げはこれまで通り緩やかなペース

5月23日(現地、以下同様)、5月1日から2日にかけて開催されたFOMC(米国連邦公開市場委員会)の議事要旨が公表された。次回6月会合での利上げが示唆された一方で、今後も緩やかなペースでの利上げが正当化されることなどが述べられた。

FRB(米国連邦準備制度理事会)が金融政策を行なううえで重視しているコアPCEデフレーター*1は2%に近づいている。【図表1】さらに、今後数カ月以内に2%を上回る可能性が高く、市場では利上げペースの加速を警戒する声も出ていた。しかし、今回の議事要旨では、物価目標は2%を中心として上下に対称であることが強調されており、多少2%を上振れても利上げペースを急がない姿勢が示された。

10年国債利回りは落ち着きを取り戻す

年初から米国の10年国債利回りは上昇傾向で推移しており、新興国からの資金流出懸念や米国株の相対的な投資魅力の低下などが指摘されてきた。【図表2】しかし、5月のFOMC議事要旨を受けて、過度な利上げ加速懸念が後退したことから、10年国債利回りは3%近傍まで低下した。

今後、10年国債利回りが一段と上昇する条件

10年国債利回りの上昇余地を考えるうえでは、より年限の長い30年国債利回りの動向が参考になる。足元で、10年国債利回りと30年国債利回りの差が縮小しており、30年国債利回りが上昇しなければ、10年国債利回りの上昇余地も限られるだろう。【図表3】

経験則として、中立金利*2が30年国債利回りの上限として意識されやすい。しかし、足元では30年国債利回りが3.2%前後をレンジの上限として推移しており、これは既に中立金利の上方修正を織り込んでいるともいえる水準である。よって、今後の10年国債利回りの上昇余地を考えるうえでは、中立金利が市場の織り込み以上に上方修正されるかがカギとなる。

6月のFOMCに注目

目先は6月12、13日に開催されるFOMCが注目される。今回はFRBメンバーの政策金利見通しが発表されるタイミングである。3月時点では、長期見通しの中央値(中立金利)が2.9%となっていた。【図表4】現在の30年国債利回りの水準が正当化されるためには、この中央値が3.2%程度まで上方修正される必要がある。しかし、5月のFOMC議事要旨や最近のFRBメンバーの発言に鑑みると、中立金利が大幅に上方修正される可能性は低いと考えられる。したがって、当面は10年国債利回りも3%台前半を上限とした推移が見込まれる。

*1コアPCEデフレーター:食品・エネルギーを除く個人消費支出物価指数

*2中立金利:景気に対して緩和的でも引き締め的でもない金利水準であり、米国ではFRBメンバーの政策金利長期見通しの中央値を用いるのが一般的

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