堅調に推移する原油価格

  • Market Eyes
  • No.222
~短期的にはさらに上値をめざす可能性~

原油価格は堅調に推移

原油価格は昨年夏ごろから上昇基調が続いている。【図表1】年末にはWTI原油先物価格が60米ドル/バレルを超え、直近では66米ドル/バレル台前後と約3年2カ月ぶりの高水準で推移している。この背景を「需要」と「供給」の両面から整理する。

需要(世界経済の回復と米国の要因)

「需要」の面では、消費量の増加は原油価格の上昇要因となる。世界景気の回復が鮮明となる中、成長著しいアジアを中心に資源需要は拡大を続けており、原油価格を押し上げる一因となっている。

また、米国の要因も大きい。昨年8月に米国テキサス州を襲ったハリケーン「ハービー」の影響で稼働停止となった製油所があり、石油需要が高まる冬にかけて稼働率が下がってしまった。【図表2】特にこの冬の米国は寒波の影響で例年以上にヒーティングオイルの需要が高まっていると考えられる。旺盛な需要に追い付くために製油所の稼働率は過去と比較しても高水準で推移しており、原油在庫の減少傾向が続いていることが分かる。

供給(OPECの協調減産と米国のリグ稼働数)

「供給」の面では、生産量の増加は原油価格の下落要因となる。昨年11月にOPEC(石油輸出国機構)加盟国などの産油国は、今年3月末までとしていた協調減産を今年末まで延長することで合意した。また、政情不安により減産を免除されていたナイジェリアとリビアには、2017年の生産量を上限とすることが盛り込まれた。さらに、イランの政情不安など中東情勢の緊迫化で供給の減少リスクも意識されるようになった。

それでも原油価格が上昇すれば、米国のシェールオイルが増産され需給が緩むため、上値余地は限られるとの見方が大勢であった。実際、米国のシェールオイル生産量は増加しているものの、原油在庫の縮小を止めるには至っていない。原油を掘削するリグの稼働数が昨年夏以降は横ばいで推移しており、今後シェールオイルの生産増加ペースを高めるには限界があると考えられる。【図表3】原油価格が上昇しているにもかかわらずリグの稼働数が増えない理由のひとつは、長期限月の価格が上昇していないことにある。【図表4】シェールオイルの採算ラインは50米ドル/バレル前後と言われているが、3~5年先の価格は55米ドル/バレルを下回る水準となっており、積極的にリグの稼働数を増やす水準には届いていない。また、2014年半ばから2016年初めにかけての原油価格急落が記憶に新しく、再稼働に慎重になっていることも考えられる。

短期的にはさらに上値をめざす可能性

以上のように、堅調な需要と伸び悩む供給を背景に、原油価格は上昇基調を維持している。OPEC加盟国などの協調減産が続く中でも、短期的には米国のシェールオイルの一段の増産は見込みづらく、今後も原油の供給量が急増するリスクは低いと考えられる。世界景気の回復で原油需要の拡大継続が想定されるなか、原油価格は短期的にはさらに上値をめざす可能性がある。その目処として、【図表1】のオレンジ色で囲んだ80米ドル/バレル付近が節目として意識されやすい水準にあることが推察される。

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