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米国株の急落について


〜既存の懸念材料を改めて意識〜


2018年10月11日

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<米国株は大幅に下落>

2018年10月10日(現地、以下同じ)の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比(以下同じ)▲831.83ドル安の25598.74ドル、ハイテク株を多く含むナスダック総合指数が▲315.97ポイントの7422.05ポイントへ下落するなど、株価が大幅に下落しました。ダウ工業株30種平均は8月半ば以来の、ナスダック総合指数は5月下旬以来の水準まで下落しました。

特定のイベントが株価下落の引き金となったわけではなく、懸案であった幾つかの材料が改めて意識されるなか、需給要因も重なって大幅な下落が引き起こされたと考えられます。要因としては、米国の金利上昇、対中通商政策への懸念、政治的な不透明感などが挙げられます。

<金利上昇、通商政策懸念、政治的不透明感等が下落要因>

米国では金融政策の正常化が進んでおり、政策金利は2.00〜2.25%に達しています。FOMC(連邦公開市場委員会)参加者の中心的な見通しでは、1回の利上げ幅を0.25%ポイントと仮定すると、年内にもう1回、来年中に計3回の「漸進的」な利上げが見込まれています。利上げに連れて長期金利も上昇しています。特に今月に入り、経済指標の上振れを受けて急上昇したことで、金利上昇の悪影響が強く意識され始めました。今夏以降、トルコ発で新興国通貨が大幅に下落しており、米国の金利上昇が新興国通貨の下落に拍車をかけたり、IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しの下方修正に象徴されるように世界経済の足かせとなる可能性も懸念されています。

米国の通商政策は保護主義が先鋭化しており、対中国については、中国からの輸入品のうち、当初500億ドルに対して25%、追加で2000億ドルに対して10%の関税が課されています。後者の2000億ドルについては年明け後に税率が25%に引き上げられることが決まっています。中国も相応の報復措置を講じる一方、トランプ大統領はさらに中国からの全輸入品に対して関税を課す意向を示すなど、米中間の緊張は高まっています。また、トランプ大統領だけでなくペンス副大統領も講演で対中強硬姿勢をあらわにするなど、経済だけでなく、政治、軍事面での米中間の緊張の高まりも懸念されます。

11月6日に迫っている中間選挙では上下両院とも接戦が予想され、上下両院を共和党が支配している現状が変化する可能性も十分あります。それに伴う政策の変化や政治的なあつれきの勃発など、不透明感は大きく、折しも、米国国連大使が辞任の意向を表明するなど、米国の政情も予断を許しません。

<経済ファンダメンタルズや企業業績の好調さを再度織り込みにいく展開に>

しかしながら、上記の諸要因に関して、今後も悪影響が強まっていくとは現時点で想定していません。金利上昇については米国の経済ファンダメンタルズの良さを反映した範囲であれば、健全な上昇と言えます。金利上昇が株式市場、世界経済等に及ぼす悪影響が大きくなるようであれば、FRB(米国連邦準備制度理事会)も事情を勘案しつつ、利上げのペースを緩やかにしてくるでしょうし、それを織り込んで市場金利は上昇が止まるか低下すると考えられます。

対中関税については年明け後の25%への税率引き上げまでは市場も織り込み済みと考えられます。米国の自動車業界がこぞって反対している自動車関税が発動される可能性は低いと思われ、発動されるにしても、手続き的に時間的猶予があると考えられます。中国に対する米国の強硬姿勢も、一部には中間選挙を意識した側面もあるでしょう。実際、11月には米中首脳会談の可能性も模索されており、緊張緩和に向けた歩み寄りが期待されます。

米国の政治的不透明感は今に始まったことではありません。中間選挙後、仮に下院で民主党が優位になった場合、インフラ投資等は超党派での議論が進みやすくなる場合もあり、必ずしも政策運営に支障をきたすばかりとは言えません。トランプ大統領の弾劾が成立する可能性は乏しく、極端な政情の変化を予想することは現実的でありません。

昨日の米国株の大幅な下落については、ここ数カ月、調整らしい調整を経ることなく史上最高値を更新し続けてきた相場がテクニカルな調整を強いられた面が大きいのではないでしょうか。昨日の取引時間後半の下落は、市場のボラティリティが高まるなか、売りが売りを呼ぶ需給的な側面も強そうです。当面は不安定な展開が続く可能性を否定できませんが、上述した様に、諸要因が緩和してくると見込まれるなか、株価は早晩、経済ファンダメンタルズや企業業績の好調さを再度織り込みにいく展開が期待されます。

以上

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