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集団化する人工知能 鈴木教授による解説シリーズ A

2018年1月25日

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<蟻(あり)のように集団化していく人工知能>

蟻は単体では知能の乏しい生物です。ところが集団になるとエサを見つけるのが非常にうまくなります。この現象は「群知能」と呼ばれ、前回のMarket Letterで解説した「集合知AIモデル」(http://www.daiwa-am.co.jp/market/html_ml/ML20171207_1.html)と関連があります。では、なぜ蟻はエサ探しがうまいのでしょうか?蟻はフェロモンを落としながら自由気ままに歩きます(左図)。しばらくするとフェロモンが濃いルートが形成されます。フェロモンは誘引物質であるため、他の蟻もフェロモンが濃いルートを辿るようになります(右図)。

またフェロモンは蒸発するため、遠いルートのフェロモンは薄くなります。その結果、近いルートのフェロモンはますます濃くなり、すべての蟻はこの近いルートをみんなの意見(集合知)として採用するようになります(左図)。

しかし単体としての独立心も重要です。集合知に惹かれながらも、自分勝手に振る舞うことでより近いエサを発見できる可能性があります(右図)。近いルートほどフェロモンは蒸発しにくいため、新しい集合知としてみんなが採用するようになります。このように集合知から独立することでもっと賢い集合知を得る仕組みを「群知能」と言います。

群知能を利用すれば、スーパーコンピュータでも解けない問題でさえ、そこそこ優れた解を短時間で探せることが分かっています。よって、人工知能も集団化させようと考えるのは非常に自然な発想です。

<AlphaGo Zeroも人工知能の集合体>

実はあの最強囲碁プログラム「AlphaGoZero」も群知能のメカニズムを活用しています。開発者のデミス・ハサビスはAlphaGo同士の自己対戦による「強化学習」と説明していますが、膨大な対戦によって得られた勝ちパターンは「集合知」であり、これを新しい対戦によって強化していく仕組みはまさに「群知能」です。

AlphaGo Zeroの前身である「AlphaGo」も強さの秘訣は人工知能技術の連携です(次ページの図)。深層学習、強化学習、モンテカルロ木探索、それぞれの方法論を組みわせることで、10360通りに及ぶ膨大な可能性の中から最も勝率を高める一手を見つけます。これは蟻が広大な大地から最も優れたエサを探す問題と同じです。

次に発表されたAlphaGo Zeroでは、人間の過去の棋譜データを学ぶプロセス(深層学習)が除去され、AlphaGo同士の自己対戦による強化学習(群知能)が本質的となります。これにより人間の関与は0(Zero)となりました。

2017年12月にはAlpha Zeroに進化し、囲碁に限らずルールを教えたばかりの素人プログラムが数時間の自己対戦だけで世界最強になるという成長ぶりです。

<集合知AIモデルのカスタマイズ性>

前回のMarket Letter で解説した「集合知AIモデル」(http://www.daiwa-am.co.jp/market/html_ml/ML20171207_1.html)も人工知能の集合体です。この集団化させる仕組みとして、今回はバギングとスタッキングをご紹介します。他にもさまざまな仕組みがあり、これらは工学的に「集団学習法」と呼ばれています。集合知AIモデルでは、集団学習法の仕組みを臨機応変に変更したり組み合わせたりカスタマイズすることで、他者に模倣されないように工夫します。

【バギング】

たくさんの人工知能に株価を予測してもらいます。この多数決(集合知)を採用することで予測力を向上させる仕組みが集団学習法です。しかし集合知の予測力を発揮するには、それぞれの人工知能に独自の意見を持たせる必要があります。そこでバギングでは、人工知能に学ばせるデータをランダムに与えることで、人工知能の独自性を高めます。

【スタッキング】

人工知能に学ばせるデータは同一ですが、様々なタイプの人工知能を用います。これにより予測方法の独自性を高めます。これらの多数決(集合知)を最終予測値とすることも可能ですが、予測が上手い人工知能と下手な人工知能がいますので、最終的にチームリーダーがそれぞれのクセや能力を把握し、最終予測値を決めます。

バギングでは学習データについて独自性を高め、スタッキングでは予測方法について独自性を高めますが、両者を組み合わせることで更に独自性を高めることができます。現在このようなハイブリッドな集団学習法も研究しています。

以上

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