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中国経済:2017年中央経済工作会議


〜「穏中求進」の中で、構造転換やリスクの解消を図る〜


2017年12月28日

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<2016年会議との比較でみた、2017年中央経済工作会議の主要内容>

2018年の経済政策の基調を定める「中央経済工作会議」が12月18日〜20日にかけて北京で行われ、習近平国家主席を含む指導部メンバー7人全員が出席し、最終日に新華社が習近平主席と李克強首相の経済政策方針を発表しました。

新華社の記事によれば、過去5年間の経済政策の実績をまとめた上で、2018年の経済政策方針を公表しました。主要経済議題に関して、2016年12月開催の同会議の内容と比較すると、下記(図表1)の通りです。

その他にも、8大重点工作が発表され、@サプライサイド改革の深化、A各種市場参加主体の活性化、B農村振興戦略、C地域間の協調的な発展、D全面的な開放、E福利の向上および民生の改善、F賃貸住宅市場の拡充など住宅供給チャネルの多様化、G環境保護、などが盛り込まれました。

<「穏中求進」の中で、構造転換やリスクの解消を図る>

全体的な発表内容に関しては、おおむね12月8日に開催された中央政治局会議の内容を踏襲し、市場予想通りとなりましたが、一部文言からは2018年の経済政策方針が2017年に比べて一段の景気刺激に対して慎重なスタンスに転じたと読み取れます。

経済運営の基本方針に関しては、「(実質GDP成長率などを)適切なレンジで維持」するとの文言が踏襲される一方、「総需要を適度に拡大させる」との文言が「経済発展の質の追及」に改められました。構造転換を図るために、2018年は2017年ほど景気刺激に力を入れない方針を再確認したと解釈できます。また、金融・財政面での方針においては、引き続き「積極的な財政政策」と「穏健的な金融政策」を維持することが確認される一方、「地方政府債務の調査監督を強化」、「マネーサプライをコントロール」などがうたわれ、2016年の同会議よりタカ派のスタンスが強まりました。特に、主要任務の「3大攻防戦」の1番目に位置づけられたのが「重大リスクの予防と解消」ですが、ここでは、金融リスクが言及されました。具体的には、「違法な金融活動や監督制度の健全化などを通して、金融と実体経済、金融と不動産、金融システム内の良好な資金循環を促進する」との方針を示しました。金融当局が2018年には金融市場のディレバレッジを継続し、債券市場、不動産市場に流れ込んでいるマネーを実体経済に環流させることを通して、リスクの解消を目指していると考えられます。そのためには、中国人民銀行が銀行間短期市場の公開市場操作において市中銀行への流動性供給を「ややタイト」に維持すると考えられます。

ただし、「穏中求進(安定の中で進歩を求める)」を国政運営の重要原則に維持することや、銀行間市場の流動性管理に関しても「金融システミックリスクの回避という譲れない一線を守り切る」との文言が確認されるなど、安心感をもたらす内容も見られました。総じて、性急な改革やレバレッジの抑制は行わないとの方針が強調されたことで、2018年の実質GDP成長率の目標は6.5%に設定する可能性が一層高まっています。海外経済にネガティブな影響が及ばない程度の景気減速にとどめるとも読み取れます。

人民元の対米ドルレートに関しても、安定化を図るとの文言が確認されたことで、一方的な元安と資本流出という負のスパイラルの可能性が排除され、海外市場にも安心感をもたらす内容になりました。

<企業債務問題に関して方針転換かを見極める必要あり>

一方で、「企業の債務問題」に関してはややサプライズとなりました。12月上旬の中央政治局会議では、2016年会議時の「削減」の方針から一段階トーンダウンして「コントロール」となりましたが、さらに今回の工作会議では言及すらされなかったことで、「企業の債務問題」に関する共産党指導部の方針が変わった可能性を浮き彫りにしました。「金融債務問題」を最優先して対処してから、「企業の債務問題」問題を手がけるとも解釈できますが、「企業の債務問題」は、経済の非効率を生み出し、銀行システムの健全化を脅かすことにつながる中国の重要な構造問題となっています。政府当局は2017年も緩やかながらDES(デット・エクイティ・スワップ)などを通じて債務削減に取り組んできましたが、今後は、中長期的に持続的な経済発展に関わる問題として、共産党指導部が「企業債務の削減」を継続するかを見極める必要があると考えます。

以上

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