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ベネズエラの情勢について

2017年11月8日

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<ベネズエラ政府は債務再編を求める方針を発表>

11月2日(現地、以下同様)、ベネズエラのマドゥロ大統領は、同日が支払い期限であった国営石油会社PDVSAの11億ドル規模の償還金については支払うとしたと同時に、すべての対外債務を対象とした債務再編を求める方針を国営メディアを通じて発表しました。ベネズエラ国債や国営石油会社の社債に借入などを加えた対外債務総額は1,000億ドル(約11兆4,000億円)にのぼるとされています。この発表を受けて、ベネズエラ国債や国営石油会社PDVSAの社債の価格は急落しました。

<原油の価格下落を背景とした資金繰り悪化を受けてデフォルトリスク高まる>

原油価格が急落した2014年以降、ベネズエラのデフォルト(債務不履行)懸念は高まってきました。

1999年に就任したチャベス前大統領は、世界最大の埋蔵量を誇る原油の輸出をもとに貧困対策をするなどの「ばらまき政策」を実施しました。その後継として、2013年に大統領となったマドゥロ氏もチャベス氏の政策を踏襲しましたが、原油価格が急落した上に、経済政策の失敗も重なり、景気は急激に悪化しました。それに合わせて、外貨準備の減少など対外債務の返済能力は低下していきました。

デフォルトによる石油関連資産等の差し押さえや、外部からの介入を回避したい政権は、輸入制限を行い外貨準備の節約に努めてきたほか、中国・ロシアからの資金調達などにより債務返済を行ってきました。しかし、最近のマドゥロ政権の独裁体制の強まりを受けた米国による経済制裁や、原油生産量の減少などから、債務返済の資金繰りに支障をきたす事態となり、今回の発表に至ったとみられます。

債券市場では、原油価格が急落した2014年以降は利回りの高い状態が続きながらも、デフォルト懸念と債務返済実施による安心感で一喜一憂する展開がしばらく続いていました。しかし足元の状況悪化と今回の発表を受けて、利回りは一段と上昇(債券価格は下落)しています。

<強まるマドゥロ大統領の独裁体制>

2015年の国民議会選挙では、経済の悪化を受けた世論の反発から、野党が大勝しました。2016年に、野党はマドゥロ大統領の罷免を目指して国民投票の手続きを始めましたが、政権寄りの選挙管理当局が手続きを中止しました。

2017年に入りマドゥロ大統領の独裁体制は一段と強まる一方で、国際的な孤立が進んでいます。

3月には、マドゥロ大統領の影響下にある最高裁判所が国民議会の立法権を停止すると発表(後に撤回)したことを契機に、大規模な反政府デモが発生し、政情は一時緊迫化しました。

5月には、マドゥロ大統領は憲法改正を目的とした議会(制憲議会)を招集する方針を表明し、野党や国際社会の反発にも関わらず、一方的に制憲議会選挙を7月に実施しました。野党は選挙に参加しなかったため、与党勢力が全議席を獲得し、制憲議会は8月に国民議会の立法権をはく奪しました。

10月には、州知事選挙が行われ、事前の野党勝利の予想を覆し、与党勢力が圧勝しました。野党側は選挙管理当局の開票作業に不正があったと非難しましたが、当選した野党候補をめぐって内部抗争をするなど、足並みの乱れも指摘されています。

<先行き不透明感は強いが、国際金融市場への影響は限定されると見込む>

ベネズエラ政府は11月13日に債権者と話し合いを行うとしていますが、債務再編の時期や方法等を含めて不透明感が強く、状況は流動的です。

一般的に債務再編は、債務を減免し新しい債券に交換するという方法が考えられますが、米国の制裁下では米国の投資家が新しい債券を保有することが禁じられており、実現性は低いと言えます。それに加えて、債務再編の交渉において、急進的な政策を続ける現政権の下では、債権者が納得するような債務再編プランを示すことは困難であると考えられます。現政権が継続する中では、債務再編のハードルは高いため調整は長期化する可能性が高く、債務返済能力が欠乏していく中で、市場の懸念は続くと考えられます。

ただし、ベネズエラの事態が深刻化した場合においても、国際金融市場にあたえる影響は大きくないと想定されます。すでに市場はベネズエラのデフォルトの可能性を織り込んでいることに加えて、貿易や金融面での周辺国との結びつきは弱く、国際銀行与信残高に関してもすでに大幅に低下しており、危機の波及経路は限定的であると考えられます。

以上

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