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ベトナム訪問記

〜成長と安定を追及する政策当局の意気込みを感じた〜


2017年10月17日

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ベトナムのハノイに出張し、金融・為替政策を担うベトナム国家銀行(State Bank of Vietnam)と資本市場政策を担う国家証券委員会(State Securities Commission)、世界銀行傘下の国際金融公社など政府・国際機関を訪問しました。今回の取材を通じて、ベトナム当局のマクロ経済政策への自信と今後の発展への意気込みが伝わってきました。

<景気に配慮した金融政策>

ベトナム国家銀行は中央銀行としてインフレの制御を主な責務に金融政策を実施しています。

インフレ率を2017年の目標と定める水準(+4%)以下にまで抑制することに成功する中(図1)、2017年の目標とされる実質GDP(国内総生産)成長率+6.7%達成に向けてベトナム国家銀行は2017年7月に一部政策金利の引き下げを実施しました。

2011年の高インフレの苦い経験を克服し、常にインフレ率の抑制に目配りしながらも景気とのバランスをとる金融政策の姿勢から、中央銀行の金融政策運営への自信がうかがえます。

ベトナム経済は個人消費が活発な上、設備投資も拡大し内需は順調です。また輸出入も堅調に推移しており、経済は安定的に成長を続けています。足元でインフレへの警戒感が大きくない中、政府の高成長志向への配慮から、ベトナム国家銀行は今後も緩和的な金融政策を維持すると考えています。一方で、政府の高成長路線の行き過ぎや改革の進捗スピードにはやや注意する必要があります。

<通貨ベトナム・ドンの安定を重視する為替政策>

ベトナム国家銀行にとってインフレ制御に加えて通貨の安定も重要な責務です。ベトナム国家銀行は金融政策を併用しながらベトナム・ドンの安定に努めています。それまでは頻繁に見直さなかったベトナム・ドンの参考値を2016年に日次で設定する方式に改め柔軟性を高めるなど、為替政策の近代化を徐々に推し進めています。

現状、外貨準備高の積み上げ(図2)に加え、低位で推移するインフレ率や経常収支黒字、海外からの安定的な直接投資などベトナム・ドンを支える環境は良好です。ベトナムを生産拠点とした海外企業による携帯電話の輸出拡大などから貿易収支は改善し、2010年まで赤字が続いていた経常収支は近年おおむね黒字基調を維持(図3)しています。ベトナムは貿易依存度が高く、輸出入の増減が経常収支に大きな影響を与えます。2016年10月から2017年3月にかけて、輸入の大幅な増加により貿易収支および経常収支が大きく悪化しました。しかし、これは韓国企業などの新工場立ち上げに伴う設備の輸入や活発な個人消費による消費財の輸入が主因とされており、今後は新工場の稼働による輸出拡大などを通じて貿易収支、経常収支とも回復する見込みです。

通貨の安定はベトナムにとって物価の安定や国内の良好な景況感を維持する上で重要です。さらに、通貨の安定はベトナム市場に対する海外企業からの信頼感を高め、経済成長のけん引役である海外からの直接投資を後押しする一因にもなります。

※補足
ベトナムでは国会が年間の目標インフレ率(2017年は+4%)を設定し、金融政策の実施状況を監督します。中央銀行であるベトナム国家銀行はインフレ率の目標達成などのため、政策金利や為替レート、預金準備率の設定や公開市場操作などの手段を用いて、金融政策を実施します。主要政策金利にはリファイナンス金利(ベトナム国家銀行が金融機関に適用する貸出金利)や基準金利などがあり、金融政策の実施や高貸出金利の抑制のため、ベトナム国家銀行が政策金利を決定します。またベトナム国家銀行は、管理フロート制の下、ベトナム・ドンの為替レートも設定しています。

<デリバティブ取引の導入など資本市場の発展・近代化を目指す資本市場政策>

国家証券委員会を訪問し、担当幹部に資本市場政策をうかがいました(Q&A形式)。

Q)ベトナムの資本市場は急速に発展していますが、今後の見通しについてお聞かせください。

-政府は資本市場(株式および債券市場の合計)を対GDP比で2020年までに約58%から70%まで成長させる方針を掲げています。
-政府は国営企業の⺠営化や外国人投資家へのさらなる市場開放、規制緩和などを通じて資本市場の発展を後押しています。

Q)8月にベトナム初となる株価指数先物の取引が開始されましたが、その背景と今後のデリバティブ市場発展に向けた政策をお聞かせください。

-今回のVN30指数を対象とした株価指数先物の導入で、投資手段の多様化とヘッジ手段の提供によるリスク管理の向上を通じて、国内外の機関投資家の利便性が改善することを期待しています。また国内の個人投資家に対する利便性の向上にも役立てて欲しいと考えています。
-今後数カ月で国債先物や他の株価指数先物、株式カバードワラントの導入を計画しており、デリバティブ市場のさらなる発展を目指しています。

Q)その他の政策をお聞かせください。

-ベトナム株のMSCI新興国株指数への早期採用を目指して、現在、海外投資家からの資本市場アクセス改善のためさまざまな施策を検討しています。
-現在、証券法の改正に取り組んでいるほか、上場企業に英語での情報開示を拡充するよう働きかけており、海外投資家のアクセス改善に努めています。

以上

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