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ファンドマネージャーの運用ノート※
英国のEU離脱通告を踏まえ、保護主義に対応する投資戦略を考察

2017年3月30日

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※当資料は、大和投資信託の運用チームの相場の見方をお伝えするレポートです。

 大和投資信託が設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。

<英国のEU離脱交渉は複雑で膨大な作業になる>

英国がリスボン条約第50条を発動しました。EU(欧州連合)への正式な離脱通告です。

今後、英国とEUは、英国側のEU予算分担金の清算や両地域で越境して暮らす国民の権利保護など、離脱に関する合意を目指します。交渉の期限は2年後ですが、両者が合意すれば延長される可能性もあります。両地域は一定の経過期間を設けての貿易協定の交渉にも着手するとみられます。

3月22日(現地)にはロンドンでテロ事件がありました。スコットランド独立を問う住民投票も計画されています。国民意識の高まりを背景に、英国は離脱交渉を進めるとみています。

<英国で起きていることは世界各国の「予告編」>

2016年6月の英国国民投票はトランプ大統領誕生に先んじて、自国意識の高まりを示しました。今回、英国はさらに具体的な一歩を踏み出したことになります。英国をめぐる動きは、保護主義が高まる国の経済の行方についての「予告編」になるとみています。

<EU離脱をめぐる国民投票後の英国経済は好調を保っている>

国民投票後の英国資産の値動きを次頁の図表にまとめました。

当初は、EU離脱が選択されたことを受けて金利は低下しました。2016年8月にイングランド銀行が大規模な金融緩和を決定してからは、政策効果があらわれ、強含む実体経済を背景に金利は反動上昇に転じています。実質GDP(国内総生産)成長率(前年同期比)は国民投票後も堅調に推移しており、英国景気が落ち込みを見せなかったことも、トランプ大統領誕生後の世界経済の流れを先取りして示すものでした。

現在の英国は、インフレの上昇が徐々に消費を減速させつつあります。それに対し、イングランド銀行からは景気回復を優先して金融緩和を継続する姿勢がうかがえます。一方、英国政府は財政政策の発動タイミングを慎重に見計らっているとみられます。言葉を変えれば、EUとの離脱交渉進展に伴って経済への実害が意識される局面のために、金融・財政の対応策を温存しているとわれわれは考えています。

<英国は「時間との戦い」に入った>

今回のEU離脱通告が英国投資戦略に及ぼす影響は小さいとみています。離脱方針は既に市場に織り込まれていると考えられるからです。

英国にとっての真のリスクは、十分な代替案を準備できないままにEUとの交渉時間切れを迎え、欧州市場へのアクセスを突然失うことです。これからの2年間、いかにして現実的な着地点を探れるかが問われます。同時に、国内へ競争力のある産業を回帰させる「保護主義へのリバランス」を進める必要があります。この2点の進捗が英国資産の価値を決めていくとみています。

<英ポンドは既に悲観論を十分に織り込んでいる>

これからの英国とEUの厳しい交渉を踏まえれば平時の英ポンドは売られやすいと考えます。しかし、既に多くの投資家が英国を悲観的にみている点には注意すべきです。ポジションが一方向に偏っているために揺り戻しの余地が大きく、特に欧州など他の地域で問題が起きている時間帯には反動上昇の幅も大きくなる可能性があります。

<保護主義を勝ち抜く国を選ぶために企業競争力や国内市場の大きさに着目する>

保護主義を投資テーマに置く場合、競争力のある産業や国内に大きい消費市場を持つ国での目先のプラス効果に注目しています。米国を筆頭に、日本を含む先進国全般が有利と考えられます。

より長い目線で考えると、その後のインフレや消費減退などの環境変化への政策対処能力も考慮に入れるべきと考えます。英国に加えて米国もこの条件に近く、世界経済の先行きを示す「風見鶏」としての位置付けができそうです。◆

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